学生たちの笑い声を聞いて窓を開けた徳永助教授が目にするユウガオの花。専門外の植物学教室で働く自分のことを、アサガオとヒルガオに囲まれたユウガオのように感じていたのかもしれないけれど、ここには万葉集を好きだと言う万太郎(神木隆之介)がいる。ユウガオの花を見てうれしそうに笑う助教授は、もう孤独ではないはず。そんな彼とは逆に、学生たちをシャットアウトするように窓を閉めた田邊教授。すばらしい仕上がりの学会誌を燃やす気はないようだけど、発案したのは自分として、手柄を横取りするつもりらしい……どうなるんだろう、万太郎の立場。

 万太郎たちが学会誌作りに奔走する間、寿恵子が高藤の妾になる話がどんどん進む。誰かの不自然な立ち聞きで話が動くのは朝ドラあるあるですが、レストランで働く竹雄(志尊淳)が、客の高藤と元老院の議官・白川(三上市朗)、そして寿恵子の話を聞いてしまうのは、ぎりぎり自然の範囲内。ナイスボウイ。しかし彼らの会話、あの時代の男たちの嫌な感じを全部入りで煮詰めた感じでドロドロでしたね。「菓子屋の娘」「男児が産めなければ離縁」「私の妻というだけで、女ではなか」……こんなのをダラダラ聞かされる地獄! それも高藤たち、本気で「寿恵子を守ってあげる」「男と女は対等として扱ってあげる」と考えてるんですよ。最悪。

 モヤモヤがピークになった金曜、華々しい発足式で、高藤たちの考えの浅さを、寿恵子がぶった斬る。振られた高藤は妻に慰めてもらう……のかと思いきや、妻の弥江さん(梅舟惟永)がトドメを刺す流れ、マジ最高。夫からの扱いの酷さを砥石として、彼女が長年研いでいた刀、いい切れ味でした。女たちが攻撃し合うのではなく、真の敵に向かって怒りを表明する気持ちの良さ。母から「男を待つばかりではつまらない、自分の機嫌は自分でとる」と言われていた寿恵子。彼女は待つのをやめて、心のままに、馬車にも乗らず、万太郎のところへ走ってきた。夕闇を明るくするユウガオのお姫様、最高でしたね。