もはやバトルなのか何なのか分からなくなるこの戦闘だが、ここで描かれているのは戦略と思考による頭脳戦である。「時を止めながら無限にある時間を使い、状況を分析し、最適な解を見つける」という戦いであり、およそ読者が見た事のないモンスターの倒し方を提示してくれるのだ。

 また「時間停止」という無限の時間を手にしている反面、カウントダウンによる時間制限が課されている構造は、物語の静と動を作り、メリハリを生んでいる。ストーリー進行上時間を進めざるを得ない場面で浪費する時間に対する焦り、かと思えばギリギリのタイミングで行われる時間停止からの逆転劇。

「世界にとっての1秒が、セカイにとっては無限である」という矛盾が、作品を通して物語を盛り上げるのだ。是非、ご一読頂きたい。