「時間停止勇者の魅力」!

 淡々と進行するストーリーと小ざっぱりした絵柄が魅力の「時間停止勇者」。様々なクエストをクリアする勇者の物語でありながら、マイペースなテンポで、ゆるく物語が展開していくのも魅力の一つ。

 しかし本作品のピックアップポイントは、何といっても「無限の時間を使ったバトルシーン」に他ならない。主人公以外が全て静止している世界でのバトルが、他作品とは一線を画すのだ。

 ちなみに主人公は、時間停止が出来る以外は全て普通の一般人。いやむしろ、屈強な人間が多い異世界において、身体能力は低い方かもしれない。そのためひとたびモンスターと戦うとなると、時間が停止しているとはいえ、相当な労力が必要となる。

 まずそもそも剣がモンスターに通らない。武器の強度を超えるモンスターの外皮を通す為、彼は静止した町中を練り歩き、切れ味鋭い名剣を探す。まずそれだけで三日使う。ここで「え? 三日?」と思うが、時間の使用はそれに留まらない。やっと探した剣をモンスターに振り下ろし、ハジかれ、腕力が足りないと言って彼は筋トレを始めるのだ。その間275日。