『ザ・ノンフィクション』他人の選択に身を任せることもアリ

 祐介は詠心に押し切られる形で移住し、言葉の問題で仕事もさっぱり決まらずぎりぎりの生活の中で、YouTubeがたまたまバズりと「九死に一生を得た」ような感じで番組は終わった。

 動画がバズらなかったら夫婦は一体どうなっていたのだろうとも思うが、「この世はつらい」と話し、そんな人生観から子どもを持つことにもネガティブだった祐介は、番組の最後では「子どもはつくりますよ、おそらく」と話すなど、少しポジティブになっているように見えた。

 慣れない海外生活や、動画から注目を浴びるなど、それまでの暮らしとはまったく違う環境で目まぐるしい日々を過ごしていくうちに、過去のつらい経験に折り合いをつけられるようになったのかもしれない。

 暗い気持ちで下す選択は、どうしても暗いほうに行きがちだ。なので、暗くなりがちな人や、気分が落ちているときほど「自分では思いもよらない、他人の選択に身を任せる」という選択は、リスキーだがアリなのかもしれない。思いがけない出来事続きで、表情が少し精悍になった祐介を見て思った。