詠心は現在、写真館でメイクや着付けのアルバイトをしているが、前の職場では目の前で客から「日本人の担当者に変えてほしい」と言われたことがあったという。異国で働くことの難しさも感じる中、近い将来子どもが欲しい詠心は、子育ては故郷の台湾でしたいと思うようになる。祐介は約3年周期で気の向くままに仕事を変えており、現在の動画制作の仕事は気に入っているものの、仕事上どうしても台湾に行けないというわけではなさそうだ。

 しかし祐介は子どもを持つことに消極的。北海道の漁師町で育った祐介は荒々しい地元の気質になじめず、中学時代にひどいいじめに遭った過去が。子どもに同じような経験をさせたくない思いもあるようで、祐介は母親に「結構、この世はつらいんだよね。あえてこのつらい世の中に(子どもを)誕生させていいんだろうかって思う」と涙ながらに話す。

 いっときは子どもを望む詠心との離婚も検討していた祐介。しかし詠心と別れたくない気持ちもあったようで、夫婦の話し合いの末、祐介は台湾移住に了承する。日本から台湾の就職活動がままならかったため、夫婦2人とも無職での移住だ。

 詠心は派遣の仕事が見つかったが、祐介の職探しは苦労する。詠心と付き合いだしてからは日々中国語の日記を書き続け、詠心との会話も日中二カ国語だった祐介は、中国語は簡単な日常会話ならある程度はこなせ、詠心の親とも中国語で話していた。

 だが、ビジネスでの会話となると大きく勝手が違うようで、オンライン面接では企業から就労ビザの有無を聞かれたのだが、祐介は交通手段を回答するなど食い違いを見せ、結局不採用となってしまう。

 貯金残高が目減りしていく中、祐介が何の気なしに、台湾の移住生活を題材にした動画を作り、中国語の字幕を詠心がつけネットで配信したところ、これが台湾を中心に大きくバズり、生計、しいては今後の見通しも見えてきたようだ。番組の最後、「念願の子どもはつくりますよ、おそらく」と祐介は話していた。