直哉は「白浜。もし戻れたら、弟だけ頼んだ」「みんな、助かるといいな」と伝えるが、立ち去れない一同。「早く行け!」という直哉に、ついに優斗は「こういうことになるんだよ。あんたが!自己満足で残るとか言うから!」と怒りを見せる。「ずっと一緒にやってきた。もう他人じゃないし、ひとりが得意とか言うな! 本当に残りたかったらそうすりゃいい。強制なんてできない。でも! 弟さんを助けられなかったことの絶望から逃げ出しているだけじゃないのか?」「この先俺たちはずっと思う。萱島さんはどうしてる。なんで置いてきた。ホントは助けたかった。……ずっと後悔する。いつも萱島さんはいてくれた。そばで毒づいて、ひとりで突っ走る俺のそばで、からかって。それにはイラついたけど……でもそのおかげで俺は今日まで生きてこれた! 萱島さんを助けられなかったら、きっと俺は一生後悔する!」と目に涙を浮かばせながら直哉に本音をぶつけ、「一緒に来い! 俺を信じろ」と力強く語りかける。その優斗の言葉に心を打たれた直哉は、「やれるだけやってみよう」という優斗の口癖を借りて「やれるだけ……やってみるか」と答えるのだった。

 リーダーを務めてきた優斗は全員で帰ろうと主張するが、それでもまだ、5号車のすべての乗客が帰る決断をできたわけではなかった。嵐がやってきて、これからワームホールが開くというとき、「ここまでみんなと引っ張ってきたのは、誰だ!? こいつを信じろ!」と優斗を指さしたのは直哉。その言葉を受けて、揺れていた乗客たちも心を決める。和真に「一緒に帰ろう! 何があっても、ずっと俺がそばにいるから!」と抱きしめられた小春は、共に帰ると決める。紗枝の優しさに触れた玲奈も、仲が近づいていた明石周吾(宮崎秋人)からの「一緒に行こう」という言葉で明石の手を取る。優斗の言葉が直哉に伝わり、それが今度は直哉によって5号車に広がっていく。5号車がこれまで築いてきた絆が発揮された瞬間だった。

 5号車の絆は意外なところにも。身勝手な行動を取って自ら車両を降りて森の中で暮らしていた田中だったが、米澤から別れを告げられる。米澤の説得には応じなかったが、最後に一番の見せ場を作った。直哉が5号車の車両に乗り込もうとしたとき、どこで聞きつけたのか、6号車の植村憲正(ウエンツ瑛士)と加古川辰巳(西垣匠)が「戻れるなら俺たちも!」とやってきて、直哉を押し倒し、さらにドアを閉めようとする。直哉だけが戻れないのか……と思われた瞬間、田中が「何やってるんだ!」とやってきて、嵐の中、直哉を車内に押し込み、米澤に「生きろー!」と伝えてドアを閉めた。悪役なのか道化なのか微妙な立ち位置だった田中もまた、乗客の一員として、絆で結ばれていたようだ。