苦労して南千住変電所にたどり着く白浜優斗(赤楚衛二)たち。SEの立花弘子(大西礼芳)のおかげで発電機を動かすことに成功。天気が荒れ始め、5号車の面々はケーブルを車両に巻き付け始める。そして嵐が来たタイミングで電流を流すと、目論見どおりワームホールが発生。2023年に戻ることをためらっていた萱島直哉(山田裕貴)は優斗の必死の説得で戻る決意をし、2060年に残ることを決めた田中の協力もあって直哉も車両に乗り込む。車両がワームホールに吸い込まれ、ついに「未来編」完結――と思われたが、なんとたどり着いた先は2026年5月1日。3年後の世界だった。隕石の衝突により世界が大災害に見舞われるのが2026年12月9日。つまり直哉たちはあと半年ほどで、世界を救わなければならない。一筋縄ではいかない、予想のはるか上をいく展開には驚かされた。

 ラストに驚かされた第8話だが、いよいよ帰ることができる可能性が目の前に現れ、乗客たちの心の揺らぎが今回のメインストーリーだった。直哉や渡部玲奈(古川琴音)、恋人の江口和真(日向亘)の子を妊娠している高校生の佐藤小春(片岡凜)らは、元の世界に戻ることに前向きになれない。なかなか一枚岩にならない乗客たちがもどかしかったが、これも本作の醍醐味だと言えよう。

 直哉に戻る決断をさせたのが、直哉が恋心を自覚し始めていた畑野紗枝(上白石萌歌)ではなく、優斗との絆だったことは、今回のストーリーの最大の見せどころだったのではないだろうか。紗枝の引き留めに、直哉は「俺は……誰も信じれなかった。信じてこなかった。でも今は……ちょっとだけ、信じられるかもって思ってる」と笑顔を見せるが、「会えてよかった」と決別の言葉を投げる。思わず涙をこぼす紗枝の額を拭ってやると、紗枝の背中を押し、直哉は「俺はここで」と優斗たちに別れを告げようとする。