『NHK漫才コンテスト』で強烈に輝いた爛々
そんなカベポスターが2021年、2022年に2年連続で逃したタイトルが『NHK漫才コンテスト』(NHK)である。
この10年の同賞優勝者は、ウーマンラッシュアワー、和牛、アキナ、ミキ、ゆりやんレトリィバァ、アインシュタイン、さや香、ネイビーズアフロ、ビスケットブラザーズ、天才ピアニストと錚々たる顔ぶれ。6月9日には『第53回NHK漫才コンテスト』が開かれ、決勝戦ではコント師のスナフキンズが漫才師の爛々を撃破した。
スナフキンズは1本目が「立ち飲み屋でとにかく『座りたい』とゴネる客」、決勝で「反抗期に反抗する少年」のネタを見せた。どちらも焦点がきっちり絞られた、筋の通った内容。特に決勝ネタは、漫才に置き換えてもうまくいきそうなほど見事な設定と展開。悪魔に体を乗っ取られたように反抗期に侵食されていく息子役・松永ボディの葛藤、それを受け入れる母親役・朝池亮介。はっきり言って「最高」のストーリーだった。
準優勝の爛々にも驚かされた。2022年の『THE W』決勝などではまだ粗々しさを感じたが、わずか半年で、非常に洗練された雰囲気になった。大国麗は『NHK漫才コンテスト』のなかで、審査員も務めているハイヒールのリンゴから持ちネタ「チョメ」を以前から「使いすぎ」と言われていたそうだが、確かに「チョメ」を抑えることでよりキラーフレーズ感が出てきた。
そして何より強烈だったのが、萌々である。ドーナツ・ピーナツのドーナツがブチギレツッコミなら、萌々はブチギレボケ。以前まではその勢いが凄すぎて、また騒々しさもあって笑いどころがボヤけて見えていた。ただ、声だけではなく萌々が発する全体的な「ボリューム感」のチューニングがとても良くなっていて、自然な調子で笑えるようになっていた。2本のネタのなかに放り込まれていたいくつかのワードも印象に残り、審査員や司会の千原兄弟もそれらをついつい口にしていた。ある意味『NHK漫才コンテスト』は爛々のための大会になった部分があった。とにかく仕上がりがハンパなく「これは『THE W』はまちがいなくイケるだろう」と思えた。
7月9日には『ABCお笑いグランプリ』(ABCテレビ)も開催される。関西はまさにお笑いのシーズン真っ最中である。