新型コロナウイルスの影響により「夏休みに旅行に行くことが難しい」と考えている人も多いのではないでしょうか。なかにはリスクを避けるために予定をキャンセルした人もいるかもしれません。コロナの第2波、第3波の不安がある中、夏休みを楽しむためにはひと工夫が必要です。そこで今回の記事では自宅でも旅行気分が味わえる傑作ロードムービーを4本紹介します。

1『菊次郎の夏』(1999年・日本)

『菊次郎の夏』は、1999年に公開された北野武監督による映画です。同年度のカンヌ国際映画祭に正式出品作品として参加するなど専門家からも高い評価を獲得しました。物語は幼いころに父親を亡くした小学生・正男と、監督でもあるビートたけしが演じる近所に住む遊び人・菊次郎を中心に展開。正男は夏休みに遠くの街で暮らす母親に会いに行こうと決意し、菊次郎が同行します。

しかし道中ではさまざまなトラブルが続出。ハラハラドキドキさせる展開とほんのり切ないストーリーに加えてスタジオジブリ作品の劇伴でも知られる音楽家・久石譲によるバックミュージックが琴線に触れ、感動を誘います。観ている人の冒険心をくすぐる作品だと言えるでしょう。

2『パリ、テキサス』(1984年・フランス、西ドイツ合作)

1984年に製作されたドイツの映画監督ヴィム・ヴェンダースによる『パリ、テキサス』は、当時の西ドイツとフランスの合作による作品です。第37回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞するなどロードムービーの傑作として知られています。タイトルの“パリ”はフランスの都市のことではなく“テキサス州パリス”という地名のことです。

物語は、この小さな街を目指して放浪の旅に出ていた主人公・トラヴィスが息子のハンターや妻のジェーンと再会し別れるまでを描いています。ストーリーの内容に加えて映像のマジックとも言うべき情景描写がとても優れた作品です。さらにギタリストとしても知られるライ・クーダーによる音楽が物語や映像をより一層美しく引き立てていることも魅力。

3『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984年・アメリカ、西ドイツ合作)

アメリカの映画監督ジム・ジャームッシュによる1984年の作品が『ストレンジャー・ザン・パラダイス』です。ジャームッシュは脚本も手がけており映像に加えてストーリーの面においてもハードボイルドな個性が発揮された内容になっています。商業映画としてはジャームッシュ監督による初の作品だったものの、第37回カンヌ国際映画祭で新人監督に与えられるカメラ・ドールを獲得しました。

また第19回全米映画批評家協会賞も受賞するなど高い評価を得ました。物語は「ニューヨーク」「クリーブランド」「フロリダ」と3つの舞台からなる3部構成で製作されています。全編モノクロのため渋い魅力が漂うとともに人気音楽グループのラウンジ・リザーズでも知られるジョン・ルーリーが主演を務めていることも見所です。