そんな彼女への想いが募る万太郎、草花への「好き」と違って、人への「好き」な気持ちはきれいなものではなく、実はどす黒いことに気がついてしまい、つらい。どろどろした恋心を持て余した万太郎が悩みを打ち明けるのが、大学の仲間や竹雄(志尊淳)ではなく、長屋の女性たちなのが彼らしい。さすが、ずっとお姉さんの綾さん(佐久間由衣)に助けられてきた、弟キャラ。自分の弱さを隠さずさらけ出しちゃうのも、万太郎っぽい。「こんなこと言ったら恥ずかしい」とか思ってしまうような、変なプライドが全然ない。「どういたらえいがでしょうか?」とあの澄んだ瞳で問いかけられたら、誰でも「しょうがないなあ!」となんとかしたくなりますよね。迷子の子犬をほっとけないのと一緒。
そんな万太郎の悩みをきっかけに始まった、長屋女子たちの恋バナシーン、よかったですね。おゆうさん(山谷花純)が隠してきた過去、恋バナというには重すぎる話でしたが、やっとみんなに打ち明けられたことで、少しは気持ちが軽くなったかな。彰義隊の一員だった倉木(大東駿介)を命懸けでかくまって介抱したおえいさん(成海璃子)の強さと無茶さ、若い女の子らしい恋だなあ。「誰かを好きになってきれいなままでいようだなんて、ちゃんちゃらおかしいんだよ」と万太郎に説く長屋のおねえさんたち。ほんと、そうですね。
長屋での女子トークで元気を取り戻してまた走り始めた万太郎。それはいいんだけど、寿恵子の母・まつ(と、父と思い違いした職人の文太)にだけ結婚申し込み匂わせ宣言をして「できるだけの速さでまっすぐ走って、お嬢様を迎えに来ます! ほんじゃきここにはしばらく参りません、さようなら!」と、走って去ってしまうのはどうかと思う、落ち着いてー! 時代的にまずは両親(違うけど)に申し入れるのが当然なのもわかるけども、ちゃんと寿恵子本人にも、気持ちを伝えてから走ったほうがいいのではー!