しかしまあこのフォーマット、何が良いかっつうとまるで、我々視聴者がレコーディングスタジオに迷い込んだ様な臨場感を味わえる所。ラフな会話や冗談を交えつつ互いを鼓舞し合う姿、そしてウォームアップの声出しなど、何なら1番観たいけど観客である以上、絶対に踏み越えられんラインを垣間見せてくれるのだ。願わくばもし、非業の死を遂げちまうのならいっそ、あのスタジオの地縛霊にでもなりたいよあたしゃと、俺のまる子が叫んでいるがまだまだ生を貪りたい。

 つう訳で本編、曲だ。JUNONが歌い出した瞬間に止めた。何故か。サビ始まりだったからだ。アカペラだったからだ。ヘッドホンを装着し曲頭に巻き戻す。再びJUNONのアカペラ。止める。何故か。吐息! 吐息ィィィィとなるからだ。因みにLEOの”太陽が恋した”の”こ”がちょっと掠れる所も巻き戻した。うおお何つう生々しさであるしこの聴き方はダメだ一向に曲が進まない。

 のだが、音源以上にそれぞれの声色や独自の解釈による瑞々しい歌唱が聴けるもんだから、きっとベスティさん達もそうやって巻き戻しまくりながら楽しんどるに違えねえ。

 その音階を五線譜上に記す事は容易かろうとも(おっさんは楽譜読めんし書けんから出来ないんだけどね)発音、タメ、ブレス、しゃくりなどの立体的な声の表現により低めのメロディラインであるAメロを極彩色に彩っていくJUNON。

 ラスサビの”太陽が恋した”の”よう”と”こい”をこの箇所のみ力強い地声で処理するSHUNTOは、1Bも然りだが音源以上に感情的なボーカルを響かせる。

 JUNONの天に抜ける超高音のハモりと高音も扱えるながら声質的にしっかりと地に足の着いた歌唱を聴かせるSHUNTOが織り成すラスサビ頭は間違いなく本テイクのハイライトだと言える。