物語の舞台は、父と娘の父子家庭。父は生まれながらに耳が聞こえないろう者で、その父の耳代わり・口代わりを務めてきた娘が、ひょんなことから出会った男性と恋に落ち、結婚するまでの親離れ・子離れのてんまつを明るく温かく描くホームコメディーだ。

 野々村静(吉岡)は地方の商店街で写真館を営む父・純介(鶴瓶)と2人暮らし。純介には生まれつき聴覚障害があり、同じくろう者だった母は静が幼い頃に他界している。耳の聞こえる静は、幼い頃から純介の耳代わり・口代わりを務めてきた。そのため、静には相手をジッと見つめたり、身ぶり手ぶりで話す癖がある。父との会話には、視覚情報が重要だからだ。だが、その癖は、“こびている”“がさつ”と受け止められ、アルバイト先のファミリーレストランでは同僚からは嫌われ、店長からは好意を持っていると勘違いされ、傷つくことの多い毎日だ。

 ある時、静はファミレスの客として面識のある道永圭一(中島)が、ケバブの出店でつるし上げられている場面に遭遇。現金の持ち合わせがないのに注文してしまい、言葉の分からない店主相手に立往生していたのだ。静の助け船で難を逃れた圭一も、空気を読むことが苦手だった。いわゆる“普通の”コミュニケーションが苦手な2人は、互いにひかれ合っていく。

 吉岡が「ついに! ついに! 『しずかちゃんとパパ』の地上波放送が決定しました。ろう者とコーダ(CODA=Children of Deaf Adults/ろう者の両親の間に生まれた耳が聴こえる子ども)の親子の絆の物語です。撮影期間は大好きな鶴瓶さんと手話に取り組み、笑ったり泣いたり感情忙しい毎日を過ごしていました。私にとってはこの作品と出合うためにいろんな壁と戦ってきたんだと実感するような、思い入れの強い渾身(こんしん)の作品です。登場人物一人一人がとても魅力的な物語です。ぜひご覧ください」とアピールする。