◆三谷幸喜 受賞スピーチ

​選考委員の方々と一緒に僕が並んでいると、誰が受賞者か分からないような雰囲気で申し訳ないというか、フレッシュな感じが一切ないこの雰囲気…。本当にすみません。本当にうれしいです。ありがとうございます。

向田邦子さんは、僕にとって憧れであり目標です。毎回本を書く時は、必ず向田さんのシナリオを読み返して、どうすれば向田さんに近づくことができるのかということを考えながらいつも書いてます。タネを明かしますと、御所に集まった御家人たちのセリフは、「寺内貫太郎一家」の石職人たちの言葉をいただいております。それから(北条)政子と実衣の姉妹の会話も、向田さんの「阿修羅のごとく」のいただきです。本当に向田さんにありがたい、お世話になっていると思っております。

三谷幸喜/「第41回 向田邦子賞」贈賞式

僕は、今からだいぶ昔の話になるんですけれども、1回、向田賞のお話をいただいておきながら、辞退しているんですね。なぜかといいますと、向田さんは僕にとってずっと憧れだし、あと言っておきますけれど、向田邦子と三谷幸喜ってイニシャルが同じなんですよね、それが本当に自慢でした。