物語は、スランプ気味の作家・三馬太郎(中村)が、亡き父の故郷である山間の“ハヤブサ地区”に移住するところから展開。都会のストレスから解放され、穏やかな生活が送れるかと思いきや、地元の消防団に加入したのを機に、太郎は連続放火騒動に巻き込まれ、さらには、住民の不審死など怪事件に遭遇する。真相を探り始めた太郎の前に浮かび上がるのは、集落の奥底にうごめく巨大な陰謀だった――!?

 池井戸氏と中村という希代の才能が手を組むことで注目を集めている「ハヤブサ消防団」が、このほど自然豊かな山里でクランクイン。緑まぶしい初夏の田園風景に中村が降り立った。記念すべき最初のカットは、ハヤブサ地区を訪れた太郎が、亡き父の残した自宅に初めて足を踏み入れる、太郎が移住を決意するきっかけにつながる重要なシーンだ。

 クランクイン当日は、どこまでも青空が広がる晴天で、崖っぷち作家の太郎がハヤブサの美しい景色に心奪われるシーンには、もってこいのロケーションが実現。中村は、2021年に発表した初エッセー集「THEやんごとなき雑談」(KADOKAWA)の中で、「田園風景が好きだ」と明かし、「いつか、何年後かは分からないが、都会を離れ自然の多い土地に住んでみたい。日本家屋の庭付きの一軒家で(中略)靴についた泥を落とす暮らしがいい」と田舎暮らしへの憧れをつづっていた。それはまさに太郎の生活そのもので、奇しくも今回のロケで夢をかなえた形となった。