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家が裕福だから、欲しいものは(苦々しい顔をされつつも)なんでも買ってもらえ、家業は継がずに東京に出て植物学の道に進むことを認められ、そしてとうとう、学生でもないのに東大に出入りが許されるところまで来た、万太郎(神木隆之介)。元々の恵まれた生い立ちに加えて、人懐っこい笑顔でコミュ力が高く、誰からも愛される、ナチュラルボーン人たらし。すべてを持っているように見える、こんな人に笑いかけられたら、私は心からの笑顔を返せるだろうかと考えてしまう1週間でした。彼の「持ってる」感じ、私のような「持ってない」人たちには、まぶしすぎる。
そして「まぶしい!」と思うたびに、自分の器の小ささも思い知らされる。子どもの頃から彼を見てきて、草花への思いも、ひとりで学び続ける努力も、運命にあらがうしんどさも、全部知っていてもそう感じちゃうんだから、まだ彼をよく知らない東大生のみなさんのモヤっとする気持ち、よくわかる。もし私が東大生の1人なら……英語ペラペラで標本作りがうまく、植物学の本をほぼ暗記して自らをグーグル化、そしてとても美しい植物の絵を描ける、小学校中退の万太郎を見て、落ち着いていられるだろうか。気難しい田邊教授(要潤)に気に入られて褒めちぎられる万太郎を見たら、どう感じるだろう。万太郎の存在を認めてしまうと「必死に学校で何年も勉強してやっと入れた東大なのに、自分の努力はなんだったのか」って深く落ち込んでしまいそう。私なら、絶望してうさぎ小屋にこもるか、徳永助教授(田中哲司)側についてダークサイド勢力として万太郎を追い出したくなるかも。