「今夜、宇宙の片隅で」(西村雅彦、飯島直子、石橋貴明出演/98年)
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初監督映画「ラヂオの時間」(93年)公開後、初の連続ドラマ。自身初のラブストーリーとして話題になった。舞台はなんとニューヨーク! 大々的にニューヨークロケが行われた今作では、一つのアパートを舞台に、男2人と女1人のおしゃれなハートウォーミングドラマが展開していった。
三谷はこのドラマを「ジェットコースタードラマ」ならぬ「メリーゴーラウンドドラマ」と称しているが、まさに劇的な何かが起こるわけではない。西村雅彦、飯島直子、石橋貴明演じる3人の日常が繰り返される中で、恋と友情が育まれていく。もちろんコメディータッチではあるのだが、全体を通じてどこかもの悲しい。彼が敬愛するビリー・ワイルダー監督作品、特に映画「アパートの鍵貸します」(60年)の影響が、そんなところにも感じられる。
ちなみに、向田邦子賞を受賞した時のインタビューでも、最近久しぶりに「今夜、宇宙の片隅で」を見て、結構面白かったと言っていた。本人お気に入りの作品である。