天海祐希の涼子と水野美紀の樹里亜のバトルが見どころとなった第4話だが、一方で注目を集めたのは、松下演じる貴山の人物像がますます謎めいてきた点だろう。IQ140で恋愛経験ゼロ、裏社会の住人である有田浩次(中川大輔)とは古い友人という設定はこれまでも明かされていたが、「新宿界隈ではかなり顔が利く」という浩次とどういうつながりなのかは、今回も不明なままだった。樹里亜のネックレスをすり替えたことについても、入手先は「ちょっとした知り合いから」とにごし、手慣れた様子だったと指摘されても説明はない。素直に受け取れば、貴山は裏社会と何らかの関わりがある人物だろう。探偵として生きていくために「ダーティなこと」にも手を出さないといけないという涼子が貴山に助手にならないかと誘ったのも、彼の隠された一面に何かを感じた部分もあったのだろうか。そして貴山は、「決して嘘はつかない」と約束していたにもかかわらず、父親の病室にいたことを涼子に伏せていた。貴山はいったい何を隠しているのだろうか。

 第5話は過去から現在に戻り、涼子にとって「二度と思い出したくない」樹里亜が依頼人になるというまさかの展開。殺害を予告するような脅迫状を手にし、身を守ってほしいというのだ。予告映像には犯人らしき黒ずくめの人物も映し出されているが、死んだはずの西田真紀が犯人ではないかと筆者は推理する。真紀を演じる市川由衣は、2014年公開の主演映画『海を感じる時』での体当たり演技も話題を呼んだ実力派女優であり、こんな短い出番でフェードアウトするとは考えにくい。自身の死を偽装してまで樹里亜に復讐しようとしても不思議ではないし、涼子が“宿敵”である樹里亜の依頼を受けることになるのも、そのあたりを察したからではないだろうか。今夜放送の第5話は第4話以上にさらにスリリングな展開となりそうだ。

■番組情報
月曜ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオル ほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
音楽:眞鍋昭大
主題歌:ざきのすけ。「彼は誰どき」(ソニー・ミュージックレーベル)
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
制作協力:ファインエンターテイメント
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/arienai