次は、たま「あっけにとられた時のうた」(96年)。「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマとして作られ、たまのメンバーとも、もともと親交が深かったさくらさんが作詞を担当。まるちゃんのドタバタな日常がそのまま3分間にまとめられたような、愉快な物語が描かれています。かわいくて面白くて、大人になった今でも強く印象に残っている1曲です。そして、たまとさくらさんが仲良しというのも納得! メロディーのゆらぎみたいなものが「ちびまる子ちゃん」の世界にピッタリで、なんだかまるちゃんが歌っているように聴こえてくるくらい親和性を感じます。両者の才能が存分に発揮され、コミカルなアニメーションにもばっちりハマっている名曲です。
4曲目は、植木等「針切じいさんのロケン・ロール」(95年)。「ちびまるこちゃん」のエンディングテーマ。シェブ・ウーリーの「Purple People Eater」が原曲で、大瀧詠一さんがプロデュース。さくらさんが訳詞という形で作詞を担当していますが、実際にはまるちゃんの祖父・友蔵が元気いっぱい動き回る様子を描いたような楽しい歌です。なんといっても植木さんの味わい深いボーカルが最高! 終始ニコニコ笑いながら歌っているような、パワフルかつ脱力な歌唱表現が絶品で、リスナーの肩の凝りをほぐしてくれるよう。漫画版の「ちびまる子ちゃん」では、まるちゃんが「スーダラ節」を聴いて「ああいう歌を作りたい」と感じ、それが「おどるポンポコリン」の誕生につながったと描かれているエピソードもあるんだとか。
最後は、西城秀樹「走れ正直者」(91年)。「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマに起用され、作詞はさくらさん、作曲・編曲は織田哲郎さんによる、時代を超えて愛されている名曲です。さくらさん自身がヒデキの大ファンで、アニメの中でもまるちゃんの姉が大ファンという設定がきっかけとなって企画の実現に至ったそうです。明るいスカのリズムが、まるでヒデキが駆け足をしながら歌っているようでとにかく楽しい! 個人的なお気に入りポイントは「今すぐこれ交番届けよう」の出だしがクッている(半拍早く入っている)ところ。より疾走感がかもし出されていて、さらにヒデキの歌唱表現も巧みで「急がなきゃ!」という焦る気持ちが伝わってきてグッときます。