自身が演じる平安のキャラクターについては、「何を考えているのか分からない、というのが第一印象です。言ってることと考えていることが違うなんてこともザラだろうし、とにかくあまり本音を見せない人だと思います。台場の弱みを握ってコントロールする、というのはとても平安らしいですし、そうされてイラ立っている台場を見るのもたぶん好きなんでしょうね(笑)」と述べ、「演じるにあたっては、あまり抑揚のないしゃべり方にしてみたり、驚くところでもそんなに表情に出さないようにしてみたり。ポーカーフェイスで頭のいい人だと思うんですが、やっているのは犯罪みたいなことですから(笑)、そこのバランスをどういうふうに作り上げれば平安になれるのかということを結構考ました」と役と向き合っている。
生田とは映画「ハナミズキ」(2010年)以来の共演となる向井。「もちろん落ち着きなどは当時と全然違いますし、お互い環境も変わりましたが、大きくは20代の頃とそんなに変わっていないですね。生田くんはすごく器用な方ですし、お芝居に対するアンテナがすごく広いので、現場の空気感やいろいろなことをキャッチしながら作り上げていくんです。そういうところも全然変わっていなくて、『相変わらずお芝居がうまいなぁ』と思いながらご一緒しています」と生田への信頼をうかがわせ、さらに「“台場と平安という全然タイプの違う人間が同じ画面にいる”と考えた時に、僕は生田くんのお芝居を見て違うことをしなきゃいけないし、逆に台場ができないことを平安が補うこともあるんじゃないかなと思ったので、1人で作り込むというよりは、毎回現場で足し算や引き算をしていく方がいいんだと感じています」と現場でのやりとりを楽しんでいる様子を見せた。
そして、法で裁けない悪を討つピカレスク・サスペンスという作品に関して、「傍から見たらすごく恵まれているし、満ち足りているような人でも、きっと何かしら不満をもっていると思うんです。ちょっとした不満がある人、法で裁けない権力などに憤りを感じている人にとっては、溜飲(りゅういん)を下げるドラマになるかもしれないですし、個人的にはとてもチャレンジングな作品だと思っています。『これを地上波でやるんだ、やれるんだ』ということに挑戦できる場だったのでとても斬新でした。僕は自由な時代のテレビを見て育ってきたので、時代が変わって制限されることが増えるのは仕方ないことだとは思うんですが、『テレビって何なんだろう?』ということをあらためて考えられる、そんなドラマになればいいなと思います」と力強く語っている。