タキさん(松坂慶子)の言葉でも泣きました。逸馬を見捨てたことを悔やむ万太郎に「人は全てを持つことらあ、できん。何かを選ぶことは、何かを捨てることじゃ」と言うタキさんもきっと、峰屋を守るためにたくさん捨て続けてここまできたはず。勘当してくれと言う万太郎に「わしは、決しておまんを許さんぞね」と涙をこらえながら答えるタキさんと、「おばあちゃん」と抱きしめる万太郎に泣いた。幼い万太郎が母・ヒサ(広末涼子)のために描いたバイカオウレンの絵。それをそっと懐に持っていたタキさんに泣き、娘として大事に育ててくれたヒサを思って泣く綾に泣いた。みんな、ほしいもの全てを手に入れることはできないけれど、いちばん大事な何かを選んで生きていく。
泣きっぱなしの1週間で最大に泣いたのは、綾の演説でした。峰屋は綾に任せると万太郎が発表し、「こんな若い女が!」「女は汚れちゅうきのう!」と分家に文句を言われる中、「この先、未来永劫『女は汚れちゅう』と言われ続けるがか?」と理不尽さを訴え、酒造りへの情熱を語り、「峰屋のために働きたいがです!」と頭を下げる綾を見て、ボロ泣き。そして最初に彼女を支持する声をあげたのが、末席にいた女中たちだったことにまた泣き、笑いをとりながら賛成する番頭さんに泣き、蔵人たち、峰屋の使用人たちの「よろしゅうお願いいたします!」「よろしゅうお頼申します!」に泣きました。
これでやっと万太郎も綾も好きな道を進める、めでたしめでたし……しかし残されたのが、竹雄問題。「わしのお守りはクビじゃ」と、峰屋に残って綾の助けになるよう万太郎に言われ、峰屋で仕事しようとしても居場所がなく、相談したタキさんには「おまんが自分で決めたらえい」と突き放される竹雄。「全くみんなあ勝手じゃ!」と叫びながら水を浴びる気持ち、よくわかる。水浴びして何か覚悟を決めた顔の竹雄が、濡れた前髪のまま綾に「好きじゃ」と告白するところで、心のクラッカーをぱーんと鳴らしました。よく言った竹雄。