「普段からあまり、“この役をやりたい”と思いながら作品を読むことはないんです。期待してもそうならないことも多いですし、できる限り自分を傷つけたくないので…(笑)。作品に触れる時は、情報をすごくシャットダウンするんです。“僕がオーディションで落ちたあの作品のあのキャラクター、キャストはあの人になったんだ…”という情報を見ても、すぐにシャットダウン(笑)。それに、この作品がアニメ化されるとしたら、市川は絶対に女性の方が演じるだろうなとも思っていました」
――それはなぜですか?
「市川は、声変わり前である描写がはっきりあるからです。僕が市川を演じるとしたら、声変わりをした後だろうと思っていました。なので、一次審査のテープオーディションに受かってスタジオオーディションに行った時も、まったく期待していなかったんです。合格のお知らせを頂いた時は、うれしいというより呆然としてしまいました。声変わり前の少年の繊細さやナイーブさを、もう声変わりしてしまった僕が表現できるのだろうかと…」
――堀江さんは幼いタイプの少年役も多く演じていらっしゃるので、意外です。
「確かに、幼いタイプの子を演じさせていただくことも多いですが、地声はハスキーなんです。声変わり前のあの感じって、成人した男が演じるとどうしても“養殖もの”になってしまいます。女性の方が演じても、それは決して天然ではないんですけど…。ただ、やっぱり男が出す幼少期の男の子の声と、女性が出すそれは圧倒的に違うんです。市川を演じる上では、できる限り自然に近い声で演じたいと思っていました。そこで、声そのものを変えて演じるのではなく、声の出し方を変えるようにしました。自分の変声期前の感覚を思い出したり、小学生の男の子がやっているYouTubeを見たり。なるべく本当のローティーンの男の子の声に近づけるよう、研究して演じています」