和歌山も名乗りを上げていたカジノ誘致

 カジノ誘致に手を挙げていたのは大阪だけではない。これまでに長崎県、北海道、愛知県が名乗りを上げていた。大阪府と隣接する近畿圏の和歌山県もカジノ誘致には手を挙げており、今回、整備計画の認定が見送られた長崎県とともに一時は誘致活動をリードしていた。

 その和歌山県のカジノの誘致に、三合会(さんごうかい・香港を拠点とする幾つかの犯罪組織の総称)との関係も指摘される「マカオの賭博王」アルビン・チャウ(周焯華)が絡んでいた。

 チャウは自らが最高経営責任者(CEO)を務めるカジノ仲介業者、サンシティ・グループを通し、早い時期から和歌山県に対し売り込んでいた。2020年4月3日付の同社のプレスリリースは、和歌山県の歴史、伝統、自然の風景や地元の文化を生かした新たなコンセプト「IR2.0」を目指すとしている。

「ラスベガスのコピーでなく、和歌山県の特徴に焦点を当てたIR・カジノ作り」をすると話すチャウには何の問題もないように見えたが、実はチャウはこの時点でオーストラリアへの入国が禁止されていた。

 2019年8月1日付のオーストラリア・メルボルンの日刊紙「ザ・エイジ」の記事によると、マカオを拠点するサンシティと組織犯罪の関係が疑われたためという。

 それでも何も疑われることなく、和歌山県への提案審査書類は受理された。和歌山県のホームページによると、チャウはカナダのクレアベスト・グループとともに2021年1月15日に提案審査書類を提出している。