「『映画 ネメシス』はもともとは日テレで2021年4月期に放送されていた連ドラの劇場版なわけですが、そもそも連ドラの『ネメシス』自体、ターゲットがいまひとつ見えていない作品だった。『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』のヒットで知られる入江悠監督を総監督に据え、今村昌弘、藤石波矢といった気鋭の推理作家を各話のトリック監修に迎え、名優から新人まで75名以上のゲストを迎えるといったスケールの大きさに、TBSの日曜劇場に対抗するような大人の推理サスペンス的な作品になるかと思いきや、かなりライトでコミカルな内容で、子どもや若者向けのテイスト。なのに設定やトリックが妙にややこしいため、出演者のファン以外にアピールできる要素がなかったこともあり、評判も散々でした。ドラマ版の反省からか、劇場版はトリック監修などは全リストラされ、小難しさも減らし、上映時間99分をやたらと強調してライト感を打ち出していましたね。そのためドラマより見やすかった、面白かったという声も少なくないですが、起承転結がはっきりしたぶん、ドラマ版以上にツッコミどころが多く、伏線とは関係のないところで“謎”の多い展開となり、リピーターも生まれなかった。企画の失敗といえるでしょう」(同)
『ネメシス』には櫻井の大学時代の同級生がプロデューサーとして参画しているが、彼は『キングダム』シリーズや『ちはやふる』シリーズ、『22年目の告白』などに携わってきたヒットメーカーだけに、『映画 ネメシス』の大失速には頭を抱えているかもしれない。