元子役の“違和感”が映画の内容にリンクする

 前作『エスター』公開当時はまだ子役だったイザベル・ファーマンだが、現在は26歳。そんなイザベルが引き続きエスターを演じて、さらに前日譚を描くことに違和感があるのも当然だ。

 体はCG処理で小さくされている。セリーヌ・ディオンらしき人物の伝記映画『ヴォイス・オブ・ラブ』で主演のヴァレリー・メルシエが幼少期から現代までを演じた違和感に比べればたいしたことはないまでも、前作より前の物語なのに、顔が大人っぽくなっているのはいかがなものだろうかと思った人は多いのではないだろうか。

 しかし、計算なのか偶然なのか不明だが、実はそれこそが、大きなギミックとして機能している部分といえるのだ。というのも、今作で描かれているのは、パラサイトした家族の存在が、リーナ・クラマー(エスターの本名)がエスターになった分岐点といえるからだ。

 それまでは、子どものふりをして犯罪を繰り返していたリーナだが、あくまで“ふり”で通っていた。しかし、今回は本当に存在していた子どもに扮することで、より子どもらしくみせる努力を覚えたのだ。