◆カーディガンを着ない理由は自身の思い出にあった

 ファッションの学校に行き、それを仕事にしたとしても、自分のワードローブに入れたことのないもの、あるいは時々しかないアイテムというものがあります。多くの材料を使って料理する料理人と違って、ファッションに関連する仕事をする人たちは、割と自分の好みを優先するため、着たくないものは着ないことが多いのです。

学生服とカーディガン
カーディガンをあまり着なくなった理由とは?
 今回、カーディガンについての文章を書くに当たって、私はどうしてカーディガンというものをあまり買わないのか、着ないのかという理由について考えてみました。そこで思い当たったのは、カーディガンにまつわる思い出です。小さいころから高校生の時代まで、カーディガンはみずから望んで着るものではなく、別に着たくもないものを仕方なく着ていた覚えがあります。

「寒いからもう一枚着ていきなさい」と言われて、シャツやブラウス、あるいはワンピースの上に着るのがカーディガン。それはほとんどの場合、着たいから着るのではなく、寒いから着なくてはいけないものでした。

 そしてたぶん最も不本意ながら着ていたのが、中高生だったときに、学校に行くときに着ていた紺色のカーディガン。学校指定とかなんとか言われて、それ以外の色や形は選択することは許されず、寒いときには仕方なくシャツやブラウスの上から着たあのカーディガンが、私はどうやら嫌いだったようなのです。

ネイビーのカーディガン
「着たいから着る」のではなく、「寒いから着なくてはいけないもの」だった
 最も嫌なのは「紺色のカーディガンをシャツやブラウスの上に着る」という行為。よって、私は「紺色のカーディガンをシャツやブラウスの上から着る」ことが義務付けられた職業にはつけないと薄々感じていましたし、実際にそうなりました。