年金不安があるせいか、今は30代でも老後に不安を感じている方が多いですが、40代も後半になると老後はいよいよ現実的な問題として身近に感じるでしょう。実際、「具体的なリタイアメントプランを作成して欲しい」と相談に来られるのは、50歳前後の方がほとんどです。今回は、FPがどんなことを重視してその人に合ったリタイアメントプランを作成していくのかをご紹介します。

一般的な老後の生活費は意味がない

(写真=PIXTA)

 

リタイアメントプランを作成するにあたっては、自分の資産や現在の収入・支出、利用する制度(iDeCoやつみたてNISAなど)、その中での投資の配分など、さまざまなことを考える必要がありますが、最初に行うのが「目標の設定」です。

一般向けのサイトには「定年後の夫婦がもらえる年金の平均額」や、「65歳以上の夫婦の1ヵ月の平均支出」などを元にしたシミュレーションが載っていますが、働き方や生活がこれだけ多様化している中で、平均を参考に自分の老後プランを立てるのが現実的でないことはおわかりいただけるでしょう。

自分のリタイアメントプランを作成するためには、

  • 退職後はどのような生活を送りたいのか?
  • 何歳までに退職したいのか?
  • 退職後の生活費は減らすのか、それとも旅行や趣味を充実させるため増えるのか?
  • 田舎や海外に移住することを考える場合、その時期は?

といった将来の目標を、自分でしっかり考える必要があるのです。

リスク許容度はリタイアメントプランでも重要

(写真=PIXTA)

 

目標が決まると、資産運用方針の決定や退職後のリスクと必要資金の予測に進みますが、これらの過程で重要になるのが、その人の「リスク許容度」です。

リスク許容度は「どれだけのお金を投資に回すか」を決める際の判断材料になることで知られていますが、リタイアメントプランにおけるほとんどすべてのステップでも使われます。

例えば何歳までのプランを立てるかは、リタイアメントプランにおいて最も重要です。平成30年の簡易生命表によると、平成30年生まれの男性の平均寿命は81.25歳です。つまり、多くの人は81歳を超えても生きていることになります。果たして、この年齢までのプランで安心できるでしょうか?逆に、男性の世界最高齢記録は116歳ですが、ここまで想定する必要があるでしょうか?

同じく簡易生命表では、90歳まで生きる男性は26.5%、95歳まで生きる男性は9.6%です。自分の寿命がわからない以上、これらの確率と自分のリスク許容度のバランスが取れる年齢までのプランを作成することになります。