――セリフを考える上で意識していることを教えてください。
「すごく当たり前のことなんですけど、心情に添ったセリフにするというのを意識しています。どうしても脚本の都合で『このセリフを言ってくれないと先に進めない』『描写を説明してほしいな』という時もあるんですけど、それだけでキャラクターにセリフを作ってしまったり、不自然な行動を起こさせることを私自身が気持ち悪いと感じてしまうのでしないです。そのために、あらすじ通りにストーリーを進めようとすると苦労したりするのですが」
――原作の雰囲気を表現するのに難しいと感じたことはありましたか?
「誰もが名前を知っているほど有名な作品なので、どれだけミステリーとして面白く表現できるか、犯人をどれだけ引っ張ることができるかという難しさがあります。すでに何度も映像化されていて、面白いところやびっくりする要素はすでに出がらしになるぐらい搾り尽くされています。ただ、同じ表現を避ける必要もないので、あくまで原作から映像化されるというのを意識して、ちょっと違う部分を深堀りすることによって、ほかの作品とは見方を変えることができると思いました。その部分を考えていくのがちょっと時間がかかったかなって思っています」