そしていまやNHKは、中高年層ばかりを相手にしていては先細ると、若年層へのアピールを意識的に進めており、『NHK紅白歌合戦』のラインナップや演出からもそれは明らかですが、現在放送中の大河『どうする家康』も、これまでの大河ドラマのイメージを一新するつくり。“鉄板”の戦国時代、しかも誰もが知る徳川家康という題材でなければ、『いだてん』よりも数字は悪かったのではともっぱらです。そしてNHKがクドカンを今も高く評価しているのは、今年の正月時代劇『いちげき』を任せたことからも明らか。クドカンにとって初の本格時代劇でしたが、やはり脚本構成の妙が高く評価された。『あまちゃん』人気を考えれば、朝ドラのオファーはすでに出しているでしょうし、今の大河の路線ならクドカンにリベンジさせる方向性も十分ありえるでしょう。『いちげき』は二度目の大河のための試金石だったのではともささやかれています」(前出・テレビ誌ライター)

 そして、この『いだてん』にて、“落語界の神様”古今亭志ん生を演じていたのがビートたけし(北野武)だ。今秋には6年ぶりに監督を務めた新作映画『首』がようやく公開される予定だが……。

「一時トラブルも報じられたこの『首』は、たけしが2019年に出版した同名小説が原作で、信長、秀吉、光秀、家康が互いに互いを亡き者にしようとする一大活劇、いわば“戦国時代版アウトレイジ”。記者会見で着想源を聞かれると、『NHKの大河ドラマはよく見るけど、すごくキレイで、人間の業、欲、裏切りが描かれていない。庶民を平気で殺すということもないので自分としては面白くない』と、大河ドラマに対する不満が出発点だと話していましたが、この発言は放送中の『どうする家康』に対する皮肉ではないかともささやかれています。『首』では男同士の官能的な“絡み”も描かれるそうで、確かに大河ドラマでは描けない内容でしょう。『いだてん』出演時には収録時間が長すぎるとぼやき、『浅草キッド』の歌唱で出演した2019年末の『紅白』では、歌以外の出番で『残り10秒というカンペを出されてしまい、私はそのまま闇営業に行こうかと』とブラックジョークを飛ばしたが、本来は『N党に入ろう』だったものの事前にNHK側に止められたと暴露したことも。堅苦しいNHKに対する不満が、『首』で炸裂しているのかもしれません」(芸能ライター)

 のん、クドカン、たけし……三者三様の“NHKへのリベンジ”を見守りたい。