キングベッドに3人のジュニアが寝ている。深夜、ジャニーが近づいてくるが、怖さは感じなかったという。

「僕はぜんぜん嫌じゃなかった。お金ももちろん欲しかったですけど、どっちかっていうと、成功へ近づいている実感というか、そっちのほうが大きかった気がする」

 隣の2人は、ジャニーが近づいてきた時点で外側を向くように寝返りを打つ。

 足のマッサージから始まって、手で性器を触り最後は口腔性交と、ほかのみんなと同じ流れ。翌朝、1万円を渡されたという。

 だが、彼の仕事が好転することはなかった。

 彼は、性被害に遭ったという意識は特にないという。そしてこう話す。

「ただ……構造的に腐敗してるなと思います。相手もご老体なので、拒もうと思えば拒める。圧倒的に強姦されているわけじゃなくて、社会的に強姦されているというか。ジャニーさんと性交渉することでキャリアがステップアップする、という幻想が僕たちの中になければ、たぶん起こってない」

 続けて、

「タレントたちの評価が、完全にブラックボックス化されちゃっているからこそできたことですよね。圧倒的にセンスがあるし、新しいものを作っていく人だから、みんな『NO』と言えなかったと思うんですけど」

 人気アイドルになれるかどうかはジャニー喜多川に気に入られるかどうかで決まる。そうやって少年たちを疑心暗鬼にさせ、自分の欲望の虜にして操ってきたのだ。

 自分が好きにできる少年たちが、テレビに出てスターアイドルになる。その力を使ってメディアを黙らせ、カネをもうけ帝国を築き上げた。

 世界でも類を見ない芸能界の腐食の構造である。新聞がお得意の「調査報道」の力を結集して、「ジャニーズ帝国の光と影」という連載をして、汚名をそそいではどうか。(文中一部敬称略)