玉三郎&仁左衛門18年ぶりのお富と与三郎 客席降りの演出も

夜の部は、世話物の名作『与話情浮名横櫛』で幕開け。片岡仁左衛門の与三郎、坂東玉三郎のお富という配役では、実に18年ぶりに上演されることでも話題の舞台。本公演では、上演機会の多い「木更津海岸見染の場」と「源氏店の場」の間に、「赤間別荘の場」が入ることで、与三郎とお富の出逢いと別れ、そして三年後に再会するまでのストーリーをより深く味わうことができる。人で賑わう木更津の浜辺にやって来たのは、与三郎。仁左衛門演じる与三郎が、舞台から降りて客席の中を練り歩く演出に、場内の熱気が高まる。そして、お富と互いに一目惚れする場面では、与三郎から滲み出る若旦那らしい品の良さが美しく、その与三郎が瞬時に恋に落ちるほどの色気を纏うお富、まるで時が止まったかのように見つめ合う二人の姿が、観客の視線を釘付けに。

『鳳凰祭四月大歌舞伎』開幕 昼の部『新・陰陽師』では次代を担う若手が顔を揃える
(画像=夜の部『与話情浮名横櫛』左より)お富 坂東玉三郎、与三郎 片岡仁左衛門、『ぴあエンタメ情報』より引用)

続いての「赤間別荘」では、密会した二人の色模様をみせる“濡れ場”と、このことがお富を囲う土地の親分赤間源左衛門(片岡亀蔵)にばれてしまい、与三郎が身体中を斬り苛まれる“責め場”という対比ある展開で引き込む。顔も身体も斬りつけられた上に、海に投げ込まれる与三郎。与三郎が死んだと思ったお富も海に身を投げる。それから三年後、二人は思いもかけず再会を果たし……。「源氏店」は、湯屋から戻ったお富の艶やかさが見どころで、再会を果たしたお富に与三郎が放つ「しがねえ恋の情けが仇」から始まる台詞が有名な名場面。仁左衛門は筋書の聞き書きにて「お富への怒りも惚れ抜いているがゆえ」と与三郎の心情を表す。男女の不思議な巡り合いを描く名作で、仁左衛門と玉三郎の息の合ったやり取りが会場を魅了し、割れんばかりの拍手が起こった。

『鳳凰祭四月大歌舞伎』開幕 昼の部『新・陰陽師』では次代を担う若手が顔を揃える
(画像=夜の部『与話情浮名横櫛』左より)お富 坂東玉三郎、与三郎 片岡仁左衛門、『ぴあエンタメ情報』より引用)

続いては、歌舞伎舞踊の大曲『連獅子』。尾上松緑と尾上左近の親子が、本興行では初めて、親獅子の精、仔獅子の精を勤める。松緑は筋書の聞き書きで、「息子は今回を第一歩として、親獅子が誰であろうとも食らいついていく気迫で臨んでほしいと思います」と、左近への想いを語っている。文殊菩薩が住むという霊地清涼山。その麓の石橋に、松緑勤める狂言師右近と、左近が勤める狂言師左近が手獅子を携えて現れ、親獅子が仔獅子を谷底へと蹴落とし、自力で這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊る。仔獅子を思う親心、親獅子を慕う仔獅子の健気さが格式高く描かれます。続いて、僧遍念(河原崎権十郎)、僧蓮念(坂東亀蔵)によるユーモラスな間狂言を挟み、獅子の親子が花道に現れると、勇壮な毛振りを見せる。松緑の親獅子の精が放つ貫禄、左近の仔獅子の精から溢れるひたむきさと躍動的な姿に万雷の拍手が巻き起こり、会場は感動に包まれた。

『鳳凰祭四月大歌舞伎』開幕 昼の部『新・陰陽師』では次代を担う若手が顔を揃える
(画像=夜の部『連獅子』左より)仔獅子の精 尾上左近、親獅子の精 尾上松緑、『ぴあエンタメ情報』より引用)

<公演情報>
『鳳凰祭四月大歌舞伎』

4月2日(日)~27日(木) 歌舞伎座
※休演:10日(月)、17日(月)

昼の部:11:00~
夜の部:16:00~


提供元・ぴあエンタメ情報

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