本作では、ブレンダン・フレイザーのオスカー受賞にスポットがあたっているが、看護師リズ役のホン・チャウもこの作品でアカデミー助演女優賞にノミネートされている。両親がベトナム人。タイの難民キャンプに生まれ、アメリカで育ったというアジア系の俳優。昨年公開の『ザ・メニュー』ではレストランの不気味なマネジャー役が印象的だった。

実は、リズはチャーリーの恋人アランの妹。彼女が、映画の流れを動かしていく重要な役どころだ。

【おとなの映画ガイド】ブレンダン・フレイザーが巨体で復活! 米アカデミー主演男優賞受賞、体重272キロ、鯨のような主人公──『ザ・ホエール』
(画像=『ぴあエンタメ情報』より引用)

ネットに上がっているステージ映像をみると、舞台のチャーリーもそれなりに太っているが、映画の方がリアルで巨体。しかも、アップもあり、表情も豊か、シャワーを浴びるシーンだってある。これが特殊メイクであることに驚く。   

顔をマスクで覆っても、感情表現を可能にするプロセティック(特殊)メイキャップといわれる最新技術だそうだ。40日近い撮影期間中、45キロの冷房機能付きファットシートを5人掛かりで装着、なんと毎日4時間を費やしたという。その様子を記録した1分ほどの早回し映像がこれだ。

ケチャップをビシャビシャかけながらピザを口いっぱいにほうばり、バーレルを抱えてKFCを食べ、冷蔵庫のものをつぎつぎ平らげていくチャーリー。哀愁を帯びたそのまなざし。ぶよぶよの肉体……。強迫観念と罪悪感につかれたかのようなこの姿を、なんとなく他人事に思えないのは、なぜだろう。

映画をご覧になれば、そのなりきりぶり、それを可能にしたスタッフたちの力に感動されるはず。さまざまなことを先延ばしにしてきた自分自身に向き合い、のたうち回るような壮絶なラストにも心うたれ、アカデミー賞受賞は当然、と納得されると思う。

【おとなの映画ガイド】ブレンダン・フレイザーが巨体で復活! 米アカデミー主演男優賞受賞、体重272キロ、鯨のような主人公──『ザ・ホエール』
(画像=『ぴあエンタメ情報』より引用)

【ぴあ水先案内から】

伊藤さとりさん(映画パーソナリティ)
「……ひとりの人間のエンディングノートの物語が、こんなに美しく心穏やかになれるとは。セリフには愛が溢れ、後半につれ主人公の純度が増していく聖なる映画」

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提供元・ぴあエンタメ情報

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