ずっと考え続けるような作品
ベッカとハウイーが息子を失った交通事故で車を運転していた高校生・ジェイソンをダブルキャストで演じるのは、人気グループ「7ORDER」のボーカルで舞台でも活躍する阿部顕嵐と、オーディションで抜擢された山﨑光。
共にこのカンパニーに参加できた喜びと感謝を述べながら、「ダブルキャストなので(舞台稽古で)客席から何度かこの作品を客観的に観る事が出来ました。観たあとに受け取る鈍くて重いような思いが自分の中で消化しきれないことがあって、ずっと考え続けるような作品。お客さまも似たようなものを受け取ってもらえるんじゃないかなと今からワクワクしています。毎回その時の自分の状態によって受け取るものが全く違ったので、ぜひ何度も観て楽しんでください」(阿部)
「まだまだ未熟なのでこれからも改良していく余地があるなと思っていますが、こんなに素敵な方々とご一緒できてめちゃくちゃ嬉しいです。無事に稽古も続けられました。このあともずっと誰も欠けずに突っ走っていきたい。それぞれのジェイソンも観ていただけたら」(山﨑)とコメント。
ベッカとイジーの母親ナットを演じるシルビア・グラブは「ひとつの小さな種から水を与えて、風を与えて、太陽を与えて、この作品がどんどん成長していく過程を見守って愛情深く作品をみています。お客さんが入って完成系になるので、早くその完成系を感じてみたい気持ちでいっぱいです。ただそこで完成するわけではなく、千秋楽までまたさらに成長していく。どれだけこの作品が愛されるのか、我々も愛し続けるのか楽しみです」と喜びと期待を語った。
最後に「悲劇を物語っているストーリーではなくて、悲劇的なことが起こったあと、一生懸命生きたいと感じている人々の物語。皆一生懸命がんばろう、気遣おう、生きようとするからこそ衝突があったりすれ違いがある。でもその向こう側に分かり合いがあったりという物語。ひとことでは言い表せないような感情になって劇場をあとにされるのでは。唯一無二のこの作品にしかない体験をしていただけるのではないかなと思います」と作品をアピールした宮澤は「女性主役で、今のタイミングでこういう作品を上演するということも大きなチャレンジ。これだけのスタッフの方を集めていただいて、素晴らしい演出家のもと、この作品を今やる意義というのはすごくあると感じています。ある意味歴史的な作品でもある」とメッセージを残した。
『ラビット・ホール』は4月9日(日) から25日(火) まで東京・渋谷のPARCO劇場にて上演。その後秋田(あきた芸術劇場ミルハス 中ホール)・福岡・大阪に巡演。