◆題名に込められた意味に、涙が止まりませんでした

 今回、私がご紹介させていただく作品は、『いつかの君にもわかること』です。この映画は、あるシングルファーザーの家庭を描いた物語。父のジョンは33歳。窓拭き清掃員として働きながら、4歳の息子のマイケルを男手ひとつで育てています。

 そんな2人の何げない日々を淡々と描きつつ、緩やかな日常のトーンを止めないまま、物語は衝撃的な展開へと続いていきます。その日常の中にときどき感じる違和感。「あれ?」と思ったときには、その衝撃のあまりの大きさとともに題名に込められた意味がわかり、涙が止まりませんでした。

銀幕ロンリーガール/松本穂香
『いつかの君にもわかること』より
 観ている私たちに考える隙を与えないほど、こちらの予想を裏切り、感情を揺さぶり続ける95分間でした。朝がやってくれば、また夜が来て、明日が来る。時間は止められない。何が起きようと進んでいく。