◆異国で亡くなった人のご遺体を、遺族の元へ送り届ける
本作に登場するのは、異境の地で亡くなった人の遺体を国境を越えて故国に送り届ける“国際霊柩送還士”たち。国際霊柩送還を展開する会社・エンジェルハースの社長を務める伊沢那美(米倉涼子)をはじめとした国際霊柩送還士達と、家族を亡くした人達のヒューマンドラマだ。
“死別”が前提のストーリーのため重さはあるが、『リーガル・ハイ』や『コンフィデンスマンJP』などコメディ要素の強いドラマを手掛けた古沢良太の脚本で、ついつい笑ってしまう登場人物同士の軽快な会話が繰り広げられている。
とはいえ、会話劇の面白さだけではない。各話ともに基本的には導入はゆるく、徐々にシリアスになっていくのだが、後半は会話数自体が少なくなる。“ご遺体”と“ご遺族”の最後の別れの時にはたっぷり時間を使い、悲しみの中にも綺麗な姿でご遺体と対面できたことの喜びをかみしめる、ご遺族の心境をしっかり映し出す。見ている側もご遺体とご遺族の歴史を想起して、より一層の感動を味わうことができる。
那美がマニラや韓国など世界を飛び回るため、それだけで作品のスケールの大きさを感じるが、心の動きが事細かに表現されており、大胆さと繊細さを合わせたストーリーと言える。