吉沢は、本作が「金曜ドラマDEEP」の立ち上げ第1弾作品であること、原作が世界的ヒット作ゆえに結末を知る視聴者も多いであろうことに触れ、「期待と不安がある中で『この枠、面白い』と言われるドラマにしたい」と頼もしい言葉を口にし、「陽子がどんな決断を下すのか。最後まで見ていただければ、それこそが見どころだと思う」と締めくくった。

 陽風台クリニックの副院長を務める内科医・陽子は、夫と息子と3人で、誰もがうらやむ幸せな家庭を築いている。陽子自身の美貌と名声もさることながら、同い年の夫・昂太は映像制作会社を経営し、若々しいルックスに優しい性格、ベッドの中でも結婚当初と変わらず陽子を愛してくれる。小学生になる息子・凪も明るく素直に育ち、自分の人生は完璧――。そう陽子は思っていた、昂太が札幌出張から帰って来るまでは…。

 その日、陽子は朝から胸騒ぎを覚える。札幌出張から戻った昂太が女性用のリップクリームを持っていて、昂太のマフラーに自分のものとは明らかに違う色の長い毛が付いていたからだ。まさか女…!? 気が気でない陽子は、長い毛の女性を1日中意識してしまう。陽子の患者で最近レストランをオープンした佐倉美南(七瀬なつみ)、昂太の部下でシングルマザーの松井彩、家族ぐるみで仲良くしている絵画教室の先生・加集朋美(安藤聖)もマフラーに付いていた色と同じで長い毛だ。中でも朋美は昂太と同じリップも持っていた。

 翌日、同僚で親友の相沢佳奈子(内田慈)は「考えすぎじゃない?」となだめてくれるが、不安でたまらない陽子は、夕方、診察を早めに切り上げ、会社帰りの昂太の後をつける。