20代後半にもなれば、会社の仕事内容もほぼ理解し社会人として独り立ちするころです。仕事が面白くなり始め、さらに同期との評価の差が出始めるのもこの時期です。そこで気になるのがほかの人のお給料。今回は20代後半の平均年収を紹介し、業種別の金額についても解説。また20代後半の社会人に求められていることや、人事評価を上げるためのコツ、さらには年収アップのための転職についても触れていきます。「キャリアアップを目指したい」「年収を今よりも上げたい」という人はぜひ参考にしてみてください。

20代後半の平均年収は○○万円!

各年代の平均年収は、国税庁発表の「民間給与実態統計調査」で知ることができます。2018年、20代後半(25~29歳)の年間平均給与は約370万円でした。男女別に見てみると、男性が404万円、女性が326万円という結果になっています。

ちなみに、厚生労働省が実施している「令和元年賃金構造基本統計調査」では、20代後半(25~29歳)の平均賃金は月約24.4万円です。これに12を掛けると年間約293万円となります。

こちらには賞与が含まれていないので、それを考慮に入れると「民間給与実態統計調査」の結果とあまり相違はないでしょう。つまり、20代後半の平均年収は370万円程度といって差し支えなさそうです。

(参考)国税庁「平成30年度民間給与実態統計調査」・厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」

業界によっても異なる20代後半の年収額

業種によっても平均年収は異なります。先の「民間給与実態統計調査」(2018年)では20代後半で最も年間の平均給与が高いのが「電気・ガス・熱供給・水道業」の501万円です。次いで高いのが「金融・保険業」の450万円。以下、情報通信業(418万円)、建設業(416万円)、製造業(410万円)などが続きます。

逆に年間の平均給与が低いのは「宿泊業・飲食サービス業」の260万円、「農林水産・鉱業」の268万円などの業種が挙げられます。

業種ごとの給与差にはさまざまな理由が考えられます。電気、ガス、水道などのインフラ企業は比較的規模が大きく、生活に必要不可欠なライフラインに携わる仕事です。そのため収入の安定性が高く、それに伴って平均給与が高くなっていると考えられます。

参考:国税庁「平成30年度民間給与実態統計調査」

年収を上げるために20代後半の社会人に求められること

平均年収と比べて、あなたの収入はどうだったでしょうか。もし今よりももっと収入を上げたいのであれば、昇給につながるような仕事をすることが大切です。「昇給につながるような仕事」とは、言い換えれば会社から求められる成果を出すことです。

22歳新卒入社の場合ならば、20代後半は入社3~8年目の時期です。このくらいの社歴になれば仕事にも慣れ、ほとんどのことは1人でできるようになっているはずです。場合によっては後輩ができ、教える立場にもなっていることでしょう。

20代後半で求められるのは「主体性」と「キャリアデザイン意識」

ポイントとなるのが「主体性」と「キャリアデザイン意識」です。新人から若手社員へと成長しつつある20代後半の社員には、人から教えてもらうのではなく、自ら考え主体的に動くことが求められます。

さらに長期的な視点を持って、自分のキャリアをどのように描くのかも重要です。「人事のプロフェッショナルになりたい」「商品開発やマーケティングの部署も経験したい」など、明確なキャリアビジョンを持つといいでしょう。

実際に独立行政法人労働政策研究・研修機構が企業を対象に実施した、「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」(2011年)によれば、若手人材の育成における今後の課題として以下の回答が上位となっています。

  • 将来を担う人材を長期的視点で育成する必要がある(74.6%)
  • 若手人材の指導にあたる上司の指導力を強化していく必要がある(67.0%)
  • 会社の経営理念に基づく、求める人材像を明確にする必要がある(39.8%)
  • 社員が自身のキャリア目標や計画を考える機会を設ける必要がある(36.0%)

長期視点での人材育成を課題としている会社が多く、自分のキャリア形成についてしっかりとした考えを持っておくことは自身の評価にもつながっていくことでしょう。

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査」(2011年)

20代後半はキャリア形成の分かれ目!評価を上げるための方法

20代後半はキャリア形成の最初の分かれ目とも言えます。20代前半では人事評価の差がつきにくく、横並びになることがほとんどです。しかし、20代後半にさしかかれば、人によって評価に差がついてきます。

成果を出せば先輩にも追いつくことができ、そうでなければ後輩から追い抜かれてしまうこともあり得ます。そこで続いては、自身の評価を上げるための仕事のコツを5つ紹介します。

1.スピード感を持つ

年齢に関わらず、「すぐに行動すること」は社会人としてとても大切なことです。上司から仕事を依頼されたら、できるだけすぐにレスポンスをするようにしましょう。もしほかの業務で忙しい場合には、上司に相談して、仕事の優先順位や納期について事前にすり合わせをするといいでしょう。

「すぐに行動すること」は簡単なようで難しいものですが、スピード感を持って働くことで、周囲からの信頼を得られ、なおかつ余裕を持って仕事に取り組むことができます。

2.「同じ」失敗・質問を繰り返さない

例えば、先輩から何かを教えてもらったとします。その後、同じシチュエーションになった際に教えてもらったことを覚えておらず、もう一度同様の質問をしたらどうでしょうか。最初のうちはそれでも丁寧に教えてくれるかもしれませんが、やがて「仕事を覚える気がない」と判断されてしまう可能性もあります。

そうならないよう、教えてもらったことや覚えたこと、失敗したことはメモをしておくなどして、同じ質問を繰り返さないように注意しましょう。

3.ホウレンソウを重視する

「指示された期日に間に合わない」「お客さんともめている」「仕事上で悩みがある」など、仕事にはトラブルがつきものです。そういった場合、自分だけで無理に解決しようとすると事態が悪化することも考えられます。

早いうちに上司や先輩と情報共有をすることは自分を守ることにもなります。気が進まないとしても、こまめにホウレンソウ(報告・連絡・相談)をするようにしましょう。

4.好奇心を持って、何にでもチャレンジする

こちらも社会人として大切な要素です。会議などで「じゃあ、これ誰がやる?」「誰かやってくれる人はいる?」とやり手がいなくて役割が宙に浮いた場合、真っ先に手を挙げる人は評価されやすいと言われます。

なぜなら、積極的に仕事を引き受けるということは、「やる気」「チームワーク」「成長意欲」などを同時に表明することにつながるからです。もし自信がなかったとしても、ホウレンソウを怠らなければ大丈夫です。

先輩や上司とこまめに情報共有をしていれば、万が一うまくいかなかった場合でもフォローしてくれるでしょう。また率先して手を挙げる人には、また新たなチャンスも訪れるはずです。

5.評価制度を深く理解する

会社ごとにその従業員に求めることは違います。100社あれば100通りの「求める人材像」があります。もし評価を上げたいのであれば、自分の会社が求める人材像や評価制度をよく理解しておくといいでしょう。

多くの会社は「求める人材像」を明文化しています。それを自分なりに咀嚼して、自身の仕事に落とし込むようにしましょう。もし明文化されていない場合には、先輩や上司に聞くなどして、目指すべき方向性を把握することが昇進・昇給への近道と言えます。