2023年4月15日(土)より、根津美術館では、特別展『国宝・燕子花図屏風―光琳の生きた時代 1658-1716―』を開催する。
尾形光琳の描いた《燕子花図屛風》といえば、根津美術館はもちろん、日本が誇る江戸絵画の傑作。総金地に色鮮やかな燕子花の群生が、リズミカルに配置された作品は、光琳が到達した最初の芸術的頂点と言われている。《燕子花図屛風》を紹介する同展は、館の庭園で本物のカキツバタが咲くこの時期に開催されるほぼ毎年恒例の展覧会だが、今回は、同作を中心に、光琳が生きた1658年から1716年までの様々な芸術の諸相に注目する。
江戸時代中期、約100年前に俵屋宗達と本阿弥光悦が創始した装飾的でデザイン性あふれる琳派の芸術を発見し、独自に洗練させて後の世に伝えた尾形光琳。実は、彼が40代半ばで《燕子花図屛風》を描いたこの時期は、近世の芸術文化が宮廷や幕府に主導された時代から円山応挙や伊藤若冲ら民間出身の個性派画家が活躍していこうとする移行期にあたる。
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