展覧会タイトルの「かたち、色、ハーモニー」は、ルオーが自身の芸術を語る際に繰り返し用いた言葉だという。そのルオーの「かたち、色、ハーモニー」の形成に影響を与えたモローやセザンヌら同時代の芸術家との関係を浮き彫りにする展観が、同展の見どころのひとつだ。

その後、次第に装飾的な関心を深めていったルオーは、安定感のある形態と輝く色彩、そしてマティエールが美しいハーモニーを奏でる成熟期の表現へと到達する。同展では、初期から最晩年に至る作品群によって、その表現の変遷の軌跡をたどることができる。

同展のもうひとつの見どころは、ふたつの大戦を経験したルオー作品における戦争の影響を深く考察する試みが行なわれていること。戦争の残酷さや人間の苦悩を見つめ、さらにその中にも希望を見いだす表現に取り組んだルオーの戦争期の重要作《ホモ・ホミニ・ルプス(人は人にとりて狼なり)》や《深き淵より》が初来日するのも楽しみなところだ。同展が、日本におけるルオーの最も充実した回顧展のひとつとなることは間違いない。

<開催情報>
『開館20周年記念展 ジョルジュ・ルオー ― かたち、色、ハーモニー ―』

会期:2023年4月8日(土)~6月25日(日)
会場:パナソニック汐留美術館
時間:10:00〜18:00、5月12日(金)、6月2日(金)、6月23日(金)、6月24日(土)は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:水曜(5月3日、6月21日は開館)
料金:一般1,200円、65歳以上1,100円、大高700円


提供元・ぴあエンタメ情報

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