夏のお祭りや花火大会などに出かける機会に浴衣を着たことがある方も多いでしょう。ですが着物と浴衣の違いをご存知ですか?今回は、知っているようで意外と知らない浴衣と着物の違いについて解説します。ポイントを絞ってまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね!

似て非なる着物と浴衣!その違いの見分け方は?

着物は「和服」の総称

今更聞けない浴衣と着物の10の違い!見た目から着方までサクッと解説!
(画像=『BELCY』より引用)

着物とは字のごとく「着るもの」ですが、明治維新の時代に西洋から「洋服」が日本に入ってきたことから、洋服と分ける意味で用い、日本伝統の民族衣装、つまり「和服」のことを指します。

女性の着物には、振袖や訪問着、付下げ、留袖、小紋などいくつもの種類があり、着る方の年代、しきたり、着用場面などで区別されます。

浴衣は夏に着る着物の一種である

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(画像=『BELCY』より引用)

浴衣は、夏に着る薄地の着物を指します。文字からわかるようにお風呂上りの肌着感覚の着物です。浴衣は着物の一種であり、基本的な構造や作り方は同じです。しかし、訪問着などと呼ばれる一般的な着物とはいくつか違いがあり、浴衣と着物は別のものとして言葉を使い分けています。

街で見かける女性の浴衣は、昔は白地や紺地が主流でしたが、最近は鮮やかな色柄が多く、着付け方も小物の使い方も同じように見えます。見た目だけでは浴衣か夏の着物かわかりづらくなりました。しかし、歴史的にも、しきたりとしても、理にかなった違いがあるのです。

夏の花火大会や夕涼みに着る浴衣を、なぜあらたまったお席や格式のある場所に出かける際には着ないのか、浴衣と着物の違いがわかると、それぞれの良さを改めて再認識でき、自信を持って着物や浴衣を着ることができるようになるでしょう。

着用場面|浴衣と着物の違い2つ!

違い①普段着か冠婚葬祭か

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(画像=『BELCY』より引用)

着物は、冠婚葬祭や卒業式、成人式などの特別な場面で着られることが多く、着物の種類によっては観劇やお食事会など街着として着ていかれます。いっぽう浴衣は、もともと夏のお風呂上りや夕涼みに肌着感覚や寝間着としてくつろぐときのものでした。現代では夏の花火大会やお祭りのときにおしゃれ着として着ます。

昔からの慣習もあり、浴衣はどこかへ出かけるとしても、夏祭りや近くを歩くときに着るものという位置づけです。フォーマルな場面にも着ていけるのが着物で、寝間着にもできるカジュアルなのが浴衣なのです。浴衣は、どんなに高級であろうと小物で飾ろうとも、冠婚葬祭などのフォーマルな場にはふさわしくありません。

違い②年間着られるか季節が限られるか

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(画像=『BELCY』より引用)

着物は生地や仕立て方によって年間を通じて着られるものですが、浴衣を着られる期間は6月から9月の夏の時期に限定されます。蒸し暑い夏に涼しく、多少ラフにも着ることができるのが浴衣です。

ただし、現代では例外として、国際交流の場、海外旅行でのドレスアップなどの際に夏でなくとも浴衣が着られることが多くなっています。その理由として、浴衣は、着物に比べて着付け方が楽なこと、使用する小物が少なくて済むこと、価格面でも着物より安いのに見た目が着物と変わらないという点があります。

昨今の日本人気や和食ブームもあり、海外の方の着物への認知度も上がりました。外国の女性の中にも着物を着てみたいという方が増えています。日本女性の着物姿の美しさを気軽にアピールできる点でも浴衣は人気です。

作り方|浴衣と着物の違い1つ!

裏地をつける作り方をするかしないか

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(画像=Photo by Hideyuki KAMON、BELCYより引用)

洋服の場合、裏地のない薄手のジャケットは夏用、裏地のついたジャケットは夏以外の季節に着用します。着物も同様に、寒い時期に着るために裏地をつけて作るか、夏の暑い時期に着るために裏地をつけないで作るかの2通りの作り方があり、着物の作り方の違いで季節に応じて着分けます。

表の生地とは別の生地の裏地をつけて2枚の布を重ねて縫い合わせる作り方を「袷(あわせ)仕立て」といい、裏地をつけず表の生地一枚を縫い合わせる作り方を「単衣(ひとえ)仕立て」といいます。

着物にはこの2つの作り方があります。秋から春にかけて着用される着物は「袷仕立て」で、厚みがあり暖かいのが特徴です。5月~9月の夏の時期に着る着物は「単衣仕立て」で仕立てられます。軽くて涼しいのが特徴です。浴衣は夏の時期しか着ませんので、裏地のない「単衣仕立て」しかありません。

見た目|浴衣と着物の違い2つ!

違い①生地の種類

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(画像=Photo by sayo ts、BELCYより引用)

着物と浴衣の違いがわかりやすいのが生地や素材です。着物は絹やウール、麻、木綿、ポリエステルなどいくつもの種類の生地が使われるのに対して、浴衣は基本的に木綿で作られています。

着物の生地には大島紬や結城紬に代表されるようなさまざまな織物や、友禅染めとか辻が花染め、絞り染めといったいろいろな染め方があり、同じ素材でも生地の作り方が多種多様です。生地の見た目や手触りで違いがよくわかります。

夏に着る浴衣は、汗を吸収しやすく速乾性のある素材を使い、肌着のような着心地の良さが特徴です。近年は木綿だけでなく、綿と麻との混合生地や手軽に洗えるポリエステル製のものも販売されています。

違い②刺繍や箔をつかっているか

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(画像=Photo by 、BELCYより引用)

着物は、作り方の手が込んでいて高価なものや、日本各地の伝統技巧で作られた希少価値のもの、高度な技術や高価な素材を使った豪華なものが多くあります。わかりやすいのが着物の表地に刺繍や箔をつかっているかで、見た目でもすぐにわかります。

また、真夏の6月下旬~8月の暑い時期の単衣には絽(ろ)、紗(しゃ)といった、薄く透け感のある、見た目にも着ていても涼しい、より通気性の高い素材も用いられます。夏の着物であっても、織り、染めの高度な技術、刺繍を加えるなど、格式の高い場所にもふさわしいよう豪華さも表現しているのが着物です。