いまやビジネスにおいて、「2.0」はキラーフレーズとなっています。2018年には『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(著者:佐藤航陽 出版:幻冬舎)が21万部を突破するベストセラーとなりました。タイトルに「2.0」と冠したビジネス書も多数出版されていますね。今回はそんな書籍をご紹介します。あなたはどの「2.0」に興味がありますか?

(1)『労働2.0 やりたいことして、食べていく』(著者:中田敦彦 出版:PHP研究所)

オンラインサロンの運営やアパレルブランド「幸福洗脳」を立ち上げるなど、近年は経営者としての手腕も発揮するお笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦。吉本興業から給与をもらう立場でありながら経営者でもある中田は、「雇われる立場」と「雇う立場」の両方を知る人間です。

そんな中田は、「一つの職種、一つの会社、一つの場所にとらわれないこと。一つの場に『雇われる』だけでなく、『雇う』視点も取り入れ、随時変化と進化をしながら『やりたいこと』を実現させて、食べていく」という働き方を「労働2.0」と名付けます。

中田に対して、なんとなく「ラディカルに物事を進めていくタイプの人間」という印象を持っている人も多そうですが、『労働2.0』を読めば印象が変わるはずです。

本書では、周囲と折り合いをつけながら意思を通す方法が提案されています。「やりたいことで生きていくんだ!」と、急進的に物事を進めがちな人にとっては、耳の痛い言葉も書いてあるかもしれません。

自分らしく楽しく働くためには、泥臭く動く場面だって必要――と教えてくれる点でも、この本は実践的な内容です。

(2)『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(著者:東松寛文 出版:河出書房新社)

激務の広告代理店で「社畜寸前」だった著者が、ひょんなことから旅に目覚め、会社を辞めずに3か月で5大陸18か国を制覇!週末だけで世界一周を達成するまでをつづったストーリーです。

ここまで聞いて、「楽しそうだけど真似できるわけがないよ……」と感じた人もいるかもしれませんね。しかし本書は、「休み方を変えたら働き方が変わり、働き方が変わると生き方まで変わった」と伝えます。

もちろん、金曜の夜に飛行機に飛び乗ることができるように多くの業務をこなしていくことはハードなものでしょう。著者である東松氏自身も大変な生活だったことは認めています。しかし、少々無茶をしたからこそ東松氏は「リーマントラベラー」という唯一無二の肩書を得て、多数のメディアに出演し、年間50回以上の講演を行う存在となりました。

本書を読んでいると、楽しそうな旅の風景にワクワクさせられるのと同時に、「自分にとって、『ハードでも楽しい!』と思えるものは何だろう?」と考えさせられます。

東松氏は、安定した収入などが得られる会社員は最強の職業だと指摘しています。先述の『労働2.0』と共に、会社員でも自由な働き方は可能だと教えてくれる1冊です。

(3)『働き方2.0 vs 4.0 不条理な会社人生から自由になれる』(著者:橘玲 出版:PHP研究所)

経済作家・橘玲氏による本書は、「10年後、幸福をつかむ人は何が違うのか?」を考えるもの。2.0どころか「4.0」の話をしています。

橘氏によると、働き方1.0が「年功序列・終身雇用の日本的雇用慣行」で、働き方2.0が「成果主義に基づいたグローバルスタンダード」、働き方3.0が「プロジェクト単位でスペシャリストが離合集散するシリコンバレー型」、働き方4.0が「フリーエージェント(ギグエコノミー)」とのこと。

日本国内でも働き方1.0の崩壊が近づきつつありますが、2.0にアップデートしたところで遅い。なぜなら、最先端の働き方は3.0から4.0に大きく変わりつつあるのだから……。

中国やインドなど新興国を中心とする急速な経済発展と、テクノロジーの驚異的な性能向上など、世界の動きを解説しながら、「昭和と平成の常識」が抱える問題点を批判する本書。読んでいて不安を掻き立てられる内容が多く、焦りを感じる一方、モチベーションアップにもつながります。