とはいえ、山田邦子も今後何十年も審査員を続けられるわけでもないのでは。M-1審査員のなかで、松本人志がいちばんの先輩となるのは時間の問題。つまり、松本がM-1審査員を退く日はそう遠くないという見方もできる。

「松本さんが審査員をやめると、M-1の存在価値がかなり薄まってしまうという懸念があるわけです。いまM-1は本当に盛り上がる大会になっていて、若手芸人にとっても重要なモチベーション。吉本興業としてもテレビ朝日としても絶対に失いたくないコンテンツでしょうし、お笑い界全体のことを考えても、存続させたほうがいい。

 となると、やっぱり“松本さんがいなくなった後”のこともちゃんと考えておかなければならないんです。つまり、若手芸人たちが“この人に評価されたい”と思うような人材に審査をしてもらわなければならない」(同)

 “ポスト松本人志”となるカリスマの登場が待たれているということだ。では、その有力な候補はいるのだろうか。

「正直、松本さんよりも後輩で、同じくらいのカリスマ性を持っている芸人はなかなかいません。吉本の序列であれば、今田耕司、東野幸治、ナインティナインあたりが続くわけですが、いずれもネタのイメージはない。かといって、現在審査員を務めているメンバーは、ネタには定評はありますが、そこまでカリスマ性があるわけではない。本当に難しい問題です」(同)

一部では、有吉弘行待望論もあるという。

「有吉さんは、ネタのイメージはあまりないのですが、カリスマ性という意味ではなかなか強力ですし、『有吉の壁』(日本テレビ系)で若手芸人たちとからんでいるしで、審査員には向いているのではないかと言われています。ただ、オファーされても有吉さん本人が受けるとは思えないんですよね……。

 そうなると結局、吉本の芸人にポスト松本人志になってもらうしかない。たとえば、千鳥やかまいたちが今以上に売れて、ダウンタウンクラスになれば彼らが担えばいいと思いますが、いずれにしても、ポスト松本人志問題は本当に深刻です」(同)

 次なるカリスマが登場するのが先か、松本人志が審査員勇退を決断するのが先か──。お笑い界は近い将来、重大な岐路に立たされる。