お客さんも0~3人なんてのがザラにある。お客さんが5人来たら、楽屋では「今日はお客さん多いな」「多すぎるだろ!」と地下芸人が口々に言い、次第にライブ全体の緊張感が高まる。お客さんがいなくてもライブは始まる。そこに関しては慣れっこで、出演している地下芸人もあまり気にしていない。毎回知っているお客さんが来るため、顔見知りで親心で優しく笑ってくれる。人数の割に笑い声があったりするのも地下ライブの特徴かもしれない。打ち上げにファンと一緒に行くことは当たり前のようにあり、ファンというより連れみたいになってくるのも地下ライブの特徴です。

 あまり同じライブで活動していると、他のライブにたまに出ると今までうけていたネタが全く響かなくなるので怖くなり、また同じライブに出続けて探求心よりも居心地をとってしまう場合もある。後ろで見ている芸人の方がお客さんよりも人数が多く、笑いを取るには後ろで見ている芸人をも笑わせないといけない為、玄人好みの要素を取り入れる場合があり、芸風が濃くマニアックになってくることも多い。

 しかし、R-1グランプリで1回戦敗退するとちゃんと落ち込む。個性があり面白いが、多くのお客さんの前でネタを披露する機会がないので、大衆性、共感性に欠ける場合が多々あり、それでも信念を貫く頑固さと拘りが育つ。玄人受けをすれば周りの芸人さんから「面白かった」と称賛されるので、続けていけるモチベーションと生き甲斐にはなるが、状況は変わらず時間だけが過ぎていく。

 当然、お客さんは毎回自分を目当てにして見に来てくれる人等いない。逆にお客さんに出待ちされてしまうとすぐに好きになってしまう。初めてついたファンとつきあう地下芸人も少なくない。女性経験の少なさから2秒で好きになる事が出来る。コミュニティーも狭いところで活動しているのでライブシーンで名前が飛び交う事もないので、集客のある人気お笑いライブから声がかかることもない。テレビに出ている芸人をひどく警戒し、眩しく見えてしまい近寄る事を拒絶する場合もある。