「この映画ではかなり“大人のテーマ”にも触れているんです」

人気ヒーローの“弱さ”を描く。監督&製作者が語る『長ぐつをはいたネコと9つの命』
(画像=『ぴあエンタメ情報』より引用)

クロフォード監督はこの物語を語る上で、イタリア製の西部劇“マカロニ・ウェスタン”と、黒澤明監督が手がけたサムライ映画のスタイルからインスピレーションを得た。

「この物語にはスパゲッティ・ウェスタン(米国ではイタリア製の西部劇をこう呼ぶことがある)とサムライ映画のスタイルが合うんじゃないかと思ったんです。具体的にはセルジオ・レオーネと黒澤明です。『続・夕陽のガンマン』のように“悪いやつだと思っていたんだけど実は違うんだ”ってストーリーは楽しいですよね。

黒澤明の作品はとても壮大で美しいのに、とても親密で人間性にあふれている。この映画もそんな風にしたかったんです。プスは存在感が実物よりも大きいヒーローです。でもこの物語の中で彼は、人生はどういうものなのか改めて発見し、とてもパーソナルな体験をする。黒澤作品もそんなふたつの要素が同居していますから、インスピレーションを受けましたね」

劇中ではスタイリッシュな映像や、クセ強めなキャラクターたちの攻防、裏切り、そして白熱のバトルが描かれるが、彼らは“苛烈な戦いの世界”と正反対の“主人公の弱さ、脆さ”を映画の主軸に据えた。剣さばきも鋭いはずのプスは、残りひとつの命を守るために怯え、賞金稼ぎとの闘いには敗れ、恐怖とパニックに震える。しかし、監督は「それこそがヒーローだ」と言う。

「プスはアントニオ・バンデラスの声の魅力もあって、非常にカリスマ性のあるヒーローとして描かれてきました。では、ヒーローとはいったい何なのか? それは強くて、決して倒れない者ではなく、自分の弱さや脆さを認めることができて、それを他人に見せることができる人なんじゃないか? そんな人だからこそ、誰かとつながることができるわけだし、それこそがヒーローなんだとこの映画では描きたかったのです」(クロフォード監督)

観客はプスと仲間たちの冒険や、“願い星”をめぐる攻防、愉快なシーンの数々を楽しみながら、いつしか感動したり、本作で描かれる複雑な感情に胸を掴まれることになるだろう。

「この映画では、楽しいスーパーヒーロー映画として観始めてもらって、映画が終わる頃には人生への感謝の気持ちだったり、それを誰かと分かち合えることに対する感謝の気持ちを感じてもらいたいと思いました。ですから、それらの要素のバランスをとることに最も試行錯誤したと思います」(クロフォード監督)

「これまでのプスはスターで、ヒーローでパーティに行けばいつも主役だけど、自分の人生をまったく大事にしていないんです。それはこれまでの死に方を見れば明らかですよね。そんな彼が人生の大切さを学んでいくんです」(スウィフト)

人気ヒーローの“弱さ”を描く。監督&製作者が語る『長ぐつをはいたネコと9つの命』
(画像=『ぴあエンタメ情報』より引用)

『長ぐつをはいたネコと9つの命』は小さな子どもたちも楽しめる作品だが、大人の観客も、いや、大人の観客だからこそグッとくるドラマがある。

「そうですね。この映画ではかなり“大人のテーマ”にも触れているんです。たとえばですが、映画の中でプスがパニックを起こすシーンが出てきます。この映画ではパニック症候群が一体、どういうものなのかをアニメーションを使ってしっかりと描くことができました。

そのことを私は誇りに思いますし、ここで描かれるドラマやテーマ、感情は、脚本のチームやストーリーボードのアーティスト、アニメーターが自身の経験を持ち寄ってくれたことで描くことができました。プスを演じたアントニオ・バンデラスさんは6年前に心臓発作を起こして、その時に人生観が大きく変わったそうです。そんな経験もすべて集まってこの映画ができたと思っています」(クロフォード監督)

人気ヒーローの“弱さ”を描く。監督&製作者が語る『長ぐつをはいたネコと9つの命』
(画像=『ぴあエンタメ情報』より引用)

『長ぐつをはいたネコと9つの命』
公開中
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提供元・ぴあエンタメ情報

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