渡航してからの注意点1 売上伝票では必ずチェック 円決済と現地通貨決済

渡航先の加盟店によっては、クレジットカードの円決済を行っているところもある。円決済だと、その場で利用額がわかるというメリットがある。円決済と現地通貨決済、どちらがお得なのだろうか。

海外で円決済できるサービスは、クレジットカード会社のサービスではなく「その加盟店が独自に提供しているサービス」なのだ。このため、「クレジットカード会社の交換レート+各カード会社の海外事務手数料」ではなく「その加盟店独自の交換レート+各カード会社の海外事務手数料」で決済される。

この「加盟店独自の交換レート」が「クレジットカード会社の交換レート」よりも得かどうかは、加盟店の設定によるので一概には言えない。加盟店によっては、交換レートを開示していないかもしれない。円決済ではその場で支払金額を確定できるので安心かもしれないが、加盟店独自の交換レートが割高な場合は損をしてしまう。

店舗にもよるが、現地加盟店の独自の交換レートで計算した日本円換算額がレシートに記載されている場合がある。その場合は、レシートを確認した時点で加盟店に日本円換算での請求を希望しない旨の申し入れを行わないとならない。レシートにサインをした後では遅いのだ。サインをすると、現地加盟店から日本円換算額で決済センターに請求データが持ち込まれてしまい、不利なレートでカード利用金額を支払うことになる可能性もあるので要注意だ。

渡航してからの注意点2  クレジットカードの海外利用の事務処理コストと交換レート

海外でクレジットカードを利用した場合は「海外利用にかかる事務処理コスト」が発生する。海外利用におけるクレジットカードの計算方法は、大体が各カード会社の「為替レート」に「海外利用にかかる事務処理コスト」をプラスし、日本円に換算して決済を行うのだ。

海外利用にかかる事務処理コストは1.3%~2.0%程度と各社によって異なる。代表的な国際ブランドのカード会社の事務処理コストをサイトで調べると、たとえばダイナースは1.3%でVisaは1.63%などと示されている。ダイナースがお得なのでは?と思われそうなものだが、為替レートはクレジットカード会社によって異なるため、必ずしもお得とは限らない。

VisaやMastercard、JCBでは為替レートを日々開示しているが、ダイナースやアメックスは為替レートを非公開にしている。

カード決済日についても注意が必要だ。海外利用におけるクレジットカードの決済日は、加盟店でショッピングなどをした日ではなく、決済センターにデータが届いた日に決済されるケースがほとんどである。利用した日から決済センターにデータが送られるのに何日かかるかは原則的に開示されていない。データが決済センターに届く間に円高が進めば得、円安が進めば損になる。各国際ブランドカード会社の決済日は以下のとおりだ。

  • Visa……利用データが米国Visaに集まった日
  • Mastercard……利用データが米国Mastercardワールドワイドに集まった日
  • JCB……JCBが加盟店に代金を支払った日
  • アメリカン・エキスプレス……利用データを処理した日
  • ダイナース……売上データがダイナースに届いた日 海外利用にかかる事務処理コスト、交換レート、決済日を総合して考えると、一概にどのカードが決済コスト安いか?を断言することはできない。ただし交換レートを開示している国際ブランドの会社については、海外でクレジットカードを利用する際の大体の目安にはなるだろう。