「一言でいうと、悪趣味だからでしょう。番組は、戦力外通告を言い渡された選手たちの姿を丁寧に追っており、過去には番組がきっかけでチームが決まった選手もいますが、やはり取材対象となるのは、“路頭に迷いそうな人”ばかり。取材を断られることは多く、クビになった選手にカメラを向けるスタッフを白い目で見る選手もいます。テレビの影響力はいまだ大きいので、『自分は(取材されても)構わないけど、子どもがイジメられるからNG』といって断られることもあるそうです。

 戦力外通告を言い渡された選手の中には、結婚式を控えていたり、奥さんが妊娠していたりするケースも少なくない。そういった状況は番組内でクローズアップされやすく、ともすれば球団や球界全体が酷薄なイメージを受けかねません。プロ野球選手を目指す少年が、シビアな現実を見て引いてしまうこともあるでしょうし、球界にとってはメリットがありません」(フリーのスポーツライター)

 プロスポーツは“見られてナンボ”の世界だが、こういう形で注目されることは願っていないはずだ。さらにテレビ局側にも事情はある。

「身も蓋もない言い方になりますが、日本人は“他人の不幸”が大好き。例えばJリーグの報道でも、優勝争いより降格争いのほうが大きな扱いになることもあるぐらいで、悲劇は数字(視聴率)を稼ぐ絶好のスパイスです。しかし『戦力外通告』はクビになった人が対象ですから、あまりにも直接的すぎる。ともすれば炎上しかねないので、いくら好視聴率が期待できても、スポンサーは手を上げにくいはずです」(キー局関係者)

 プロ野球ファンは、番組自体が戦力外通告を受けないように祈るしかないか。