◆愚直に頑張る大人たちの青春物語
もちろん、主人公の初音や他の団員たちもとても魅力的。ポンコツオケ団員でも、とにかく音楽が好きで、プロオケに入るほど情熱をかけて音楽と向き合っていることが演奏している俳優たちの表情から伝わってくるのです。同じように音楽を愛し、懸命に取り組む彼らが、互いに高め合い、支え合って一つの音楽を創り上げていく姿は愛おしく、勇気がもらえます。
様々な環境で、それぞれの人生を歩んできた人たちが、ぶつかりながらも成長していく姿は、全ての作品に共通。まさに“人間ドラマ”そのものです。
音楽の素晴らしさや、そこにかける情熱に加え、脚本家の清水友佳子氏(過去作『最愛』『エール』など)が“人の優しさ”を際立たせているのも本作の魅力。団員一人ひとりのキャラクターにリアリティと優しさを込めて描いていることが感じられます。だからこそ『リバーサルオーケストラ』を観ると、熱い想いだけではなく、優しさにも心が揺さぶられ、元気がもらえるのではないでしょうか。
徐々にまとまり、力をつけてきた“玉響”。これからの後半戦で、彼らがどんな音楽を、ドラマを届けてくれるのか楽しみです。
<文/鈴木まこと(tricle.llc)>
【鈴木まこと】
tricle.llc所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201