鶴巻は、自分の指示で隠蔽を実行に移した警察署署長を実質クビにし、署長の座をすげ替える工作を早々に実行し、自身の関与を覆い隠そうとする。だが、鴨井の衝撃の告白の影響で鶴巻派は対応に追われ、スキだらけ。鶴巻を追い落とすのは今しかないと踏んだ鷲津は、前署長を言葉巧みに説得し、鶴巻の指示で事件のもみ消しをしたと証言させる。鷲津はこれを週刊誌記者の熊谷由貴(宮澤エマ)に書かせ、鶴巻は追い詰められることに。さらに、鶴巻を潰したい内閣総理大臣・竜崎始(高橋克典)の後ろ盾もあって、鷲津は「庶民の代弁者」「権力に立ち向かう正義の味方」へと祭り上げられていく。

 鶴巻は会見ですべては秘書がやったことと強弁し、責任逃れを図る。竜崎は鶴巻と鷲津を呼び出し、鶴巻に幹事長辞任を“提案”するが、鶴巻は飲まない。そして、鶴巻の指示で鷲津が行った買収工作のネタも掴んでいた竜崎は、今度は鷲津に対し、鷲津の選挙違反を世に出したくないならばこれ以上鶴巻らを追い詰めるな、と“提案”する。狡猾な竜崎は、鶴巻と鷲津に釘を差し、「これで手打ちだ」と与党内の混乱を収束させる幕引きを図ったのだった。

 鶴巻は鷲津と握手をするが、鷲津は当然、納得していなかった。3者会談後、鷲津は自分がマスコミを引き付けておくと言って鶴巻に地下駐車場から出るよう誘導。だが、表に集まったマスコミに対し鷲津は、鶴巻から謝罪を受けたのでもう追及はしないとしながら、オフレコだとして白々しく鶴巻が総理から幹事長辞任を“提案”されたこと、それでも鶴巻が留任する意向であることを暴露。さらに鶴巻が地下駐車場にいることも明かし、報道陣は鶴巻のもとへ向かう。マスコミからの追及に「黙れ!」と一喝する鶴巻だったが、持病が悪化したのか、その場で倒れ、緊急搬送されることに。健康上の不安が露わとなり、鶴巻の幹事長辞任やむなしとなった。鷲津は見事、マスコミを誘導することで、総理大臣からの手打ちの“提案”までも無視して鶴巻に“正義”の鉄槌を下したのだった。

 ここでドラマが終わったならば、復讐劇の見事な完遂と言えたかもしれない。竜崎に気に入られた鷲津は総理補佐官へと昇進。泰生も退院し、ハッピーエンドとなりそうだったが、その“幸せ”はかりそめのものだった。復讐は、復讐を生む。復讐のために強硬な手段を取ることもいとわなかった鷲津は、いつしか多くの敵に囲まれていた。鶴巻は、かつて鷲津が追い払ったかつての同僚・虻川勝次(田口浩正)を私設秘書として雇い、虻川から“手土産”としてもらった、鷲津の政治資金パーティでの不正水増し計上疑惑を週刊誌に書かせる。新たに幹事長に就任した蛭谷敦夫(小野了)は、鶴巻と手を組んでいた。さらに「鷲津亨は偽善者」「必ず、鷲津亨を破滅させる」と宣戦布告する怪文書までが何者かによって出回る。