船を操り、畑の果物でジャムを作り、島のみんなに頼りにされるばんば・祥子さん(高畑淳子)。彼女が舞ちゃん(福原遥)やめぐみさん(永作博美)や貴司くん(赤楚衛二)たちに語ってきた言葉は、彼らを勇気づけるだけでなく、ドラマを見ている私のことも元気にしてくれました。

 そんなかっこいい祥子さんが脳梗塞で倒れ、船の操縦どころかみかんを剥くことさえできなくなってしまった。週末から月曜までのわずかな間に、舞ちゃんの妊娠発覚、娘の歩ちゃんが生まれ、保育園に通うほど成長するというスピーディーな展開でしたが、子どもがすくすく育った年月の分、老人は老いていくんですよね。当たり前だけどつい忘れがち。舞ちゃん一家が貴司くんの作ったカレーをにぎやかに食べる頃、祥子さんはひとりきりで病院食を前にしている。手は思うように動かず、夫が遺したラジオも壊れ、なんの音もしない病室。あの光景はつらかった。