ネコの口腔内疾患について考える
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
ネコの口腔内疾患について考える
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

特別な理由がなけれぱ、デンタルダイエットを日常の食事として与え、歯周病の予防に心がけるようにしましょう。

すでに自分のネコに口臭がある場合は、お口の中をよく観察してみましょう。「歯石の付着がある」「歯茎のふちが赤い」というような場合には、歯周病が疑われます。もし、「歯茎以外にも赤くなっているところがある」「奥の方にカリフラワーのような盛り上がりがある」「ドライフードのようなものを噛むときにギャッと痛がる」というような症状があれぱ、口内炎が慢性に進行している可能性があります。

いずれにしても、動物病院での処置が必要と考えてください。

ネコの口腔内疾患について考える
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
歯肉にのみ炎症がありその炎症が歯垢や歯石の付着状態と応分である場合
単純な歯周病が疑われます。
●単純な歯周病であればスケアリングといって歯石を除去する処置をし、その後デンタルダイエットに切り替えるだけで、良好に経過する場合がほとんどです。
歯肉以外にも炎症がある場合
標準的な歯周治療にうまく反応しないかもしれません。
●FeLV(猫白血病ウイルス感染症)および、FIV(猫エイズ)のチェック
●全身状態をチェックするための一般的な血液検査 を先ず実施します。
 その結果、基礎疾患が発見された場合や、FeLV・FIVの感染が判明した場合には、原因治療も含め治療計画を立てます。

検査の結果、特別な間題が見つからなかった場合、免疫系の機能の問題が原因と考えられます。その場合、解明されていない疑問点も多く、また免疫系を検査する方法もありません。したがって、対症的・経験的な治療に頼らざるを得ないということになってしまうのです。

現在、有効な治療と考えられているものには以下のようなものがあります。

1.ステロイド剤  強力な消炎作用で炎症や痛みを和らげる。初期には特効的に奏功するが、徐々に効果が減弱し、より多量の投薬が必要になってくる。糖尿病の誘発、肝障害などの副作用も問題となる。
2.NSAIDs
=非ステロイド性
抗炎症剤
 鎮痛作用とステロイド剤ほどではないが抗炎症作用が期待できる。ただし、消化管潰瘍などの副作用に注意。
3.ラクトフェリン  緩やかな消炎作用を有し、免疫系を調節する作用も期待できます。
4.レーザー蒸散 激しい炎症によって形成される増生物(カリフラワー状の盛り上がり)を蒸散させる。蒸散後の組織修復によって粘膜面の正常化が期待できます。
5.抜歯  炎症の部位や激しさによって、全臼歯抜歯や全額抜歯などの方法がとられます。FORLや重度歯周病の増悪因子の唯一と言っても良いコントロール方法です。

このような治療法を、全身麻酔をかけた上で標準的な歯周治療を実施する際に口腔内を十分に評価した上で、組み合わせて実施していくことになります。

ネコの口腔内疾患について考える
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

ネコの口腔内の問題は、まだまだ治療的な決定打を欠く、非常にいらだたしい問題です。

単純な歯周病の場合には、治療法や予防法も確立され十分なケアが可能ですが、ひとたび口腔内に炎症が拡がれぱ、一筋縄では行きません。軽症のうちから口腔内のコンディションに注意を払い、悪化を少しでも食い止め、重症になれぱ思い切って抜歯に踏み切る必要があります。

幸いにして、猫は歯がなくても非常によく適応し、複数の歯を抜歯することによって不幸なネコがはるかに快適に生活できるようになるのです。さらに優れた治療法が開発され、歯を温存した上で良好な結果が得られるようになるその日まで、日々コツコツと地道な口腔内治療を続けていくしかありません。

飼い主の皆さん、ご理解のほどよろしくお願いいたします。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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