犬の足腰の秘密を探ってみよう!
骨・関節の構造とは?
鎖骨
まず、犬は人と違って鎖骨がありません(猫には、かろうじて痕跡程度のものが残っています)。
肩甲骨
人の肩甲骨が、鎖骨に支えられて横に広がって付いているのに対し、犬は鎖骨がないため、肩甲骨は横に広がらず、体の側面に上下の縦方向に付いています。このため、犬は、人のように前足を真横に開くことができません。これは骨格の構造から来ているので、犬の前足を無理に広げるようなことはしないでください。
椎骨
椎骨が、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎からなるのは人と同じですが、それぞれの数は違います。人の場合、尾椎は退化して尾骨として残っています。また、四足歩行の犬は、椎骨が水平方向に連なっており、飛び跳ねることによる荷重が椎骨同士をずらす方向に働くため、人より椎間板ヘルニアにかかりやすいともいわれています。
股関節
犬は、牛などの大動物に比べて股関節の可動域が広く、後ろ足で器用に頭をかいたり、足を上げて排尿したりもできます。これは、犬の股関節が、骨盤の一部を形成する寛骨と大腿骨の骨頭を結ぶ円靭帯だけで支えられており、周囲に運動を制約するような靭帯がないためです。その代わり、脱臼を起こしやすいという難点があります。
趾骨(しこつ)
犬が人と大きく違うのは後ろ足です。人がかかとまで接地させて、足裏全体で体を支えるのに対して、犬は人の指先に相当する趾骨(基節骨、中節骨、末節骨で構成)で体を支えています。つまり指先で立っているわけです。
足先の特徴にも注目!
指
犬の指の本数は、基本的に前足5本、後ろ足4本です。前足の内側の親指に相当する指は「狼爪」と呼ばれ、地面に接することはありません。後ろ足の指は、狼爪が退化して4本のことが多いですが、なかには後ろ足にも狼爪が残っている犬もいます。
爪
犬の爪は、猫のように出し入れはできず、つねに出たままでスパイクのような滑り止めの役割をしています。通常の散歩程度ではなかなかすり減らないので、爪きりが必要です。とくに接地しない狼爪は伸びて巻き爪になりやすいので要注意。爪の中には血管と神経が通っており、放置していると爪と一緒に伸びてくるので、犬に痛い思いをさせないためにも、爪切りはこまめに行いましょう。
肉球
人にはないのが足裏の肉球。脂肪と繊維組織からなり、その弾力性で足への衝撃を和らげたり、滑り止めの働きをします。また、多くの神経や血管が分布しており、人の指先を同様、地面の状態を感知するセンサーの役割も果たしています。犬は汗をかかない動物ですが、肉球と鼻先だけにはエクリン腺があり、発汗します。